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雪道で足を滑らせ尻もちを…どこかを骨折しているのか?

2/4(火) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【骨と筋肉の疑問に答える】#7

Q.雪道で足を滑らせ尻もちをつきました。湿布薬を貼りましたが、なかなか痛みが引きません。どこかが骨折しているのでしょうか?(40代の都市生活者)

 ◇  ◇  ◇

A.今年は暖冬で雪が少ないとはいえ、例年2~3月は首都圏などでは記録的な雪が降り、尻もちが続出します。その時に備えて、今回は尻もち後の体のトラブルについてお話ししましょう。

 尻もちを“ごくありふれた打撲”と軽く考える人がいますが、間違いです。尻もちは意外に健康寿命を縮める重大な事態を引き起こすことがあります。尻もちが体を支える中心的存在である骨盤周囲の骨にダメージを与えている可能性があるからです。3日経っても痛みが消えないという人は骨盤周囲の骨が骨折したり、ヒビやズレなどの異変が起きているかもしれません。

 尻もちで最も影響を受けるのは骨盤の中心にある仙骨やその下の尾骨、仙骨の左右に位置する寛骨(腸骨、座骨、恥骨)です。仙骨あるいは寛骨に問題が起これば強い痛みが発せられます。痛みは、いわば体の警報器ですから、強い痛みは、それだけ体に重大な問題が起きているということです。

 実際、高齢者の尻もちでは、これらの骨にひびが入ったり、折れることも珍しいことではありません。なかには、それが原因で寝たきりになる人もいます。

 一方で「尾骨」はもともと細くて折れやすく、折れ方によっては痛みがそれほど強くありません。なんとなく痛いと思っていて病院でレントゲンを撮ったら「折れていた」という人もいます。

 厄介なのは、この尾骨は折れる方向によっては近くにある肛門を塞いだり、直腸を折れた骨で傷つけたりすることがあることです。

 尻もちをついてから数カ月が経ち、「ウンチが出にくいなあ」と感じて病院で相談したら、尾骨が折れて肛門を塞ぎ、排便障害を起こしていたという男性もいました。

 その場合は、肛門から指を突っ込んで折れた尾骨の先端を押して便が出やすいようにする場合もあります。

 なかにはお尻の痛みが引いて新たに腰痛に悩まされる人がいます。こういう人のなかには、仙骨や尾骨の痛みが強すぎて椎骨と椎骨の間のクッション役を果たしている椎間板がヘルニアになっていることに気がつかないのです。

 また、私の40代の女性の患者さんは、尻もちをついてから半年後にしびれや腰の痛みを感じるようになりました。

 痛みは脳にも影響するといわれています。この女性も、体を少し動かすたびにしびれや腰の痛みが続くために、うつ症状も出ていました。こうなると治療は複雑で、厄介なことになります。

 質問者さんのように、尻もちをついてから痛みがしばらく続くようなら受診しましょう。「たかだか尻もち程度で検査なんて……」と思われる中年の方もおられるかもしれません。しかし、いまの中年は少し前までは老人と分類された人たちです。大げさだと思う程度に騒いで用心するくらいが丁度よいのです。

(水井睦/みずい整形外科院長)

最終更新:2/4(火) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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