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高まる保育ニーズの陰で増えた「保育園」の倒産、2019年は過去最多  長期化する保育士不足、運営計画の甘さも一因に

2/4(火) 10:20配信

帝国データバンク

 子どもの安全を守り、子育て世代保護者のライフラインを支える保育園。女性の就労支援と少子化対策として「待機児童問題」の解消が叫ばれ、近年その需要が高まるなか、保育定員は国による整備効果に加えて28万人分の受け皿が追加で必要との試算もある。

 加えて、2019年10月からは幼保無償化もスタート、保育園の利用希望者はさらに増えると見込まれている。拡大する保育需要の獲得を狙って、近年保育ビジネスに参入する企業が相次いでいるのはこのためだ。

 こうした保育ビジネスの盛り上がりの裏で、経営を維持できずに倒産する保育園が近年増加傾向にある。帝国データバンクの調べでは、2019年における保育園の倒産が8件発生。件数こそ少ないものの2018年(7件)を上回り、2年連続で過去最多を更新。保育園業界で異変が見られている。

 折しも、2019年は保育園を巡り様々なトラブルが露呈した年だった。経営難を理由に突如閉鎖する保育園が各地で発生。世田谷区の保育園では、経営陣による突然の倒産通知に対し、保育士が自主的に運営する異例の対応が注目を浴びた。子どもを預ける保護者の立場では、保育行政に対する困惑と不安に視線が向いた1年になった。

 成長過程にある保育ビジネスで相次ぐトラブル。背景には、営利企業として課される「経営の安定」という課題と、「子どもの安全を守る」という福祉的な使命の双方を保つ舵取りの難しさがある。

保育士不足で急速に難しくなった安定運営

 保育園の倒産に多く共通するのは、設立から倒産までに至る業歴が非常に短期間である点だ。2000年以降の保育園の倒産のほとんどが、業歴5年未満の新規参入企業によるもの。また、過去5年に判明した保育園の倒産のうち、5割超が認可外保育園の運営事業者だった。

 早期に事業継続を断念せざるを得ない要因の一つは、保育施設の急増に伴って深刻化した「保育士不足」だ。厚生労働省によれば、2019年時点の保育園等数は3万6345カ所、12年4月から1.5倍と急増した。深刻化する待機児童解消に向け、受け皿となる保育施設の拡充が急ピッチで進められているためだ。

 一方で、中央福祉人材センターによれば、19年11月までの保育士の有効求人倍率は既に3倍を超える水準。12年からは2ポイント超も上昇しており、保育士不足が依然として高水準であることを示している。保育施設というハード面の充実に対して、保育士などソフト面の供給が追いついていない状態だ。

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最終更新:2/4(火) 10:20
帝国データバンク

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