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【論説】賭けに出たジョンソン首相の5Gファーウェイ容認、リスクは現実に

2/4(火) 12:00配信

The Guardian

【ガーディアン論説委員】
 英国のボリス・ジョンソン首相は、同国での第5世代(5G)移動通信網の構築にあたり、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に重要な役割を与えるとの決断を下した。これはジョンソン氏にとって初めての主要な地政学的戦略だが、データの安全性について極めて重要な疑問が上がっている。

 ファーウェイへのゴーサインは、米国や、ジョンソン氏が党首を務める保守党の一部議員までもが反対する中、出された。ファーウェイが中国政府と親密であることから、同社の5G通信網への参加は、西側諸国にとって重大な安全保障上のリスクとなると米国は警告してきた。極めて重要なインフラをコントロールする力が、潜在的な敵対勢力の手に落ちる可能性があるとの理由から、日本とオーストラリアはすでにファーウェイを5G通信網から除外している。

 英国のセキュリティー関連機関の長官らは、同国で10年以上事業を展開してきたファーウェイによるリスクは管理が可能だとして、ジョンソン氏を支持している。同氏はまた、ファーウェイの将来的なアクセスと影響力を制限することで、ファーウェイとの関係から必然的に出てくる付随的な影響に対して先手を打ちたいと考えている。

 ファーウェイは「ハイリスク業者」に指定されており、5G通信網の「中核的」な活動からは除外され、市場占有率の上限は35%に定められている。こうした制限は妥当ではあるが、リスクを排除するわけではない。オーストラリアでは、5G時代はデジタル活動において「中核」と「周辺」の区別がなくなり、取り締まるのは不可能になるだろうとの判断が下されている。

 ジョンソン氏はつまり、「既知の未知」に署名して、将来的な脆弱(ぜいじゃく)性を評価できない、非常に重要な国家のインフラに中国の参加を許可したのだ。定期的かつ継続的な警戒が必要となるだろう。中国が今後も習近平国家主席の指導の下、国内外において独裁的かつ支配的な傾向を発展させ続けるのであればなおさらだ。

 米政府は今回の決定について、ブレグジット後に向けた貿易交渉を前に、これまで蓄積してきた信頼を低下させる可能性があると示唆した。ジョンソン氏は、こうした発言は単に強硬姿勢を示しているだけだと願うだろう。しかし、このような微妙なタイミングで、ドナルド・トランプ米大統領が憤怒するリスクを負う決定は、何らかの意図を含んでいる。

 テクノロジーにけん引されての成長力と、英国を繁栄した理想の国にする推進力は、ジョンソン氏の取り巻き集団にとって一番の関心事だ。ファーウェイを5Gの方程式から外せば、英国全土での高速インターネットの導入は著しく遅延するだろう。ジョンソン氏や同氏に助言する人たちにとってこれは、ブレグジット後の貿易条件について売り込んできたことをたとえ台無しにしたとしても、負いたくない代償なのだ。

 ジョンソン氏は、賭けに出た。結局のところ、英国情報機関からの助言を考慮すると正当な決断だった。しかし、いかなる面においても、リスクがないわけではない。【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:2/4(火) 12:00
The Guardian

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