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「周囲の目が気になる」悩みも…使いやすい公共トイレ、模索続く

2/4(火) 12:12配信

西日本新聞

 駅や商業施設、オフィス、学校など多くの人が利用する公共トイレ。性的少数者(LGBT)や障害者など誰もが使いやすい機能や構造を模索し、取り入れる動きが広がっている。

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 昨年11月、東京の渋谷駅東口地下広場に完成した公衆トイレ。男女別、車椅子に対応した多機能トイレに加え、男女共用の「みんなのトイレ」が設置されている。男女別トイレには、ベビーベッドや人工肛門利用者向けのオストメイト設備が付いた個室もある。

 公共トイレは男女別と多機能トイレを整備するのが一般的だ。しかし、男女別は心と体の性別が一致しないトランスジェンダーの人や、異性の介助者を同伴する人が利用しづらい。多機能トイレは利用対象が多すぎて、順番待ちになりやすいという問題も出てきた。

 渋谷区は2018年11月に全国でも珍しい「トイレの基本方針」を策定。「トイレの影響で行動が制限され、社会参画が阻害される状況は大きな損失」として、「多様性を受け入れる」「みんなが選べる」などを柱に掲げた。障害や性差などによる悩みを知ってもらい、それぞれに適したトイレが分散配置されるよう呼び掛けるのが狙いだ。

トイレメーカーの取り組みも

 トイレメーカーの取り組みも進む。TOTO(北九州市)は16年からLGBT当事者に聞き取り調査を実施。「周囲の目が気になる」「多機能トイレの利用は気が引ける」など悩んでいることが分かった。そこで、配慮のポイントを紹介した冊子を作り、企業向けセミナーも始めた。広報担当者は「男女共用の個室を増やすのが理想だが、スペースや資金の問題もあり、さまざまな工夫が見られる」と説明する。

 例えば、立命館アジア太平洋大(大分県別府市)は昨年4月にトイレを改修する際、学生の意見交換会を開いた。男女共用を作るのは構造上難しいため、男女トイレそれぞれの入り口付近に手洗いスペースを備えた個室を整備。男性トイレの小便器には、顔まで隠れる高さの間仕切りを設けた。

 職場のトイレ利用を巡っては、戸籍上は男性だが女性として生きる経済産業省の職員に対し、女性トイレの使用を制限した国の対応について、東京地裁が昨年12月、違法とする判決を出した。判決は、自認する性別で社会生活を送ることは重要な法的利益として保護されると明言した。

「トイレ利用は人間の尊厳に関わる人権問題」

 LIXIL(リクシル)、コマニー(石川県小松市)の2社と金沢大による共同調査では、トランスジェンダーの39%が職場で利用したいトイレを使えていないと判明。性自認に沿ったトイレ使用を非当事者の35%が「抵抗がある」と答え、理由は「何となく」「理解できない」など知識がないことによるものが多かった。

 金沢大の岩本健良准教授(ジェンダー学)は「トイレ利用は人間の尊厳に関わる人権問題。利用者の意思に沿う選択肢があり、利用しやすい環境を整えることが重要。ハード面を整備するだけでなく、研修など教育で偏見をなくしていく必要もある」と話す。 (新西ましほ)

最終更新:2/4(火) 12:12
西日本新聞

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