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伝統と現代を再解釈した空間作り、韓屋建築家

2/4(火) 12:04配信

ハンギョレ新聞

 現代建築資材によって伝統韓屋の短所を克服した現代韓屋が急浮上している。特に、都市再生の一環として韓屋が新しく生まれ変わったり、過去と現在をつなぐ架け橋として活用されることもある。再解釈した伝統としての韓屋にはどのような特徴があるのだろうか。

再び注目される韓屋

 大韓民国の住居形態はマンションやアパートなどが大部分を占めている。1970~80年代に草葺き屋根の家や瓦葺きの家をすべてなくして西洋式へと多くの住宅が変わって以来、韓屋は現代人の日常から消えた。また住宅開発が大規模に行われ、韓屋の建築はとても難しいと思われるようになった。

 伝統家屋から遠ざかり、現代人は伝統家屋で暮らすのは不便だと考えるようになった。韓屋は床に直に座わる生活を基本とし、断熱性が弱く寒いからだ。開放型の空間ゆえに火災や犯罪に脆弱な一面もある。しかし、マンションの様々な問題点が発見され、人々のライフスタイルが変わったことで、再び伝統家屋を求める人々が増えてきた。上下階との騒音によるトラブルの心配はなく、庭の手入れをしながら自分だけの時間を過ごすことができ、アトピーのような環境問題からも自由になれるからだ。韓屋の伝統的な美、自然との共生、空間の多様性、心理的安定感、環境にやさしい建築資材などを優先的に考えた結果、韓屋に住むことを望むようになったわけだ。

短所は補完し、長所は生かした現代韓屋

 韓屋に欠かせない要素としては瓦屋根、柱や梁が露出した構造、板の間、庭などが挙げられる。現代韓屋はこのような要素をもって開発と保湿のために建てられる構造体である。建築資材が多様化するにつれ構造が強化され規模は拡大する。特に韓屋のリノベーションの場合、韓屋の骨組みはそのままに、空間を再構成し、窓の大きさと断熱を補強して生まれ変わったりもする。

 普通、現代韓屋は現代人の生活に合わせて設計される。各部屋の使用者の意見を取り入れ、空間を設計する。住む人々の趣味や生活様式を反映できる多様性を内包しているわけだ。建築の専用面積は広くはないが、住人の個性が感じられる場所が現代韓屋である。隣人はもちろん、家族とも断絶した現代人にとって、韓屋がコミュニケーションの役割を担っていることもまた興味深い。韓屋はすべての部屋がつながっている構造なので、コミュニケーションの断絶やうつ病に苦しむ現代人にとって、ヒーリング空間としての役割も果たしているからだ。

消えつつある伝統への愛情で韓屋の建築を始める
ダニエル・テンドラー(アーバンディテール共同代表、建築士、建築生物学コンサルタント)


 アーバンディテールは伝統と現代建築をつなぐ建築会社です。伝統建築の空間と意味を、現代建築の材料と施工法と生活に合わせて反映する作業をしています。特に、建て主との信頼に基づいてプロジェクトを進めます。建て主が求めるものを建築計画とデザインの過程で十分にくみ取り、建て主と交流することを重要視します。建築設計もしますが、インテリアデザインも行っています。また、建て主に適した建築環境も提案します。

Q.韓屋建築分野で起業することになったきっかけは?

 韓国で建築の仕事を10年間しています。伝統家屋を専門とする他の建築事務所で4年働き、そこで一緒に働いていたチェ・ジヒ所長とともに起業することになりました。建築事務所で職員として働き続けることもできましたが、私なりの視点で仕事をしたいと思ったんです。ある瞬間から自分の仕事をしたいと思うようになって。2014年にアーバンディテールを立ち上げて、5年ほどやってきました。建築設計事務所の場合、経営が安定するのに必要な期間がかなり長く、やっと落ち着いてきたという感じです。

Q.もともと経済学を専攻していたとか。どうして建築士に?

 経済研究院で3カ月間インターン実習をしたんですが、広いオフィスに座って仕事をするのは自分に合わないとわかったんです。間違った方向に進んでいると思いました。韓屋建築に関心が高かったので教育機関について調べてみました。ドイツで建築学を専攻した方がいいという周りの意見に従って、大学に入り直しました。両親が専攻を変えたことがあったので非常に理解してくれました。建築学は創造的な専攻で、面白い授業も多かったし、スケッチすることも好きだったので楽しく学びました。韓国で建築士として活動するためには、5年制の建築学科を出て3年のあいだ実務を積んで建築士の資格を取ります。でも私は韓国での経歴でドイツで建築士の資格を取得しました。

Q.ドイツには韓屋建築の教育課程はなかったのでは?

 大学の教育課程がわりと自由でした。科目を選択して、科目の教授のところに行って、韓屋関連のプロジェクトはできるかと尋ねました。教授たちが「韓屋を知らないのに、どうやって授業をやれというのか」と聞いてくるので、「韓屋に関しては私が準備する。教授は建築をご存知だから『空間の造作はどうか、動線に支障はないか』を教えてくれれば良い」と言いました。このように事前に授業計画を示せば、受け入れられることが多かったです。

Q.建築プロジェクトはどのように進められるんですか?

 アーバンディテールは住宅を中心にやっていますが、建て主が建物を建てたいと言ったら、土地をまず研究したり器物を検討したりしてから、建て主のライフスタイルを聞いて設計を始めます。平面から設計して3Dに起こして、インテリア設計もします。次に許可などの行政処理を始めます。韓屋は審議を経るので修正事項があれば長くなりますね。鍾路区(チョンノグ)は、建物を建てる時に文化財発掘が必要な場合もあり、行政業務が長くなります。建築許可が出たら現場に行って計画どおりに進んでいるか確認します。新築は設計期間が3~4カ月ですが、建物が建つまでには早ければ6カ月、長ければ18カ月かかります。

Q.韓屋建築の長所はどんなところですか?

 何よりも韓屋を建てるのに使う材料がいいですね。建築現場に行くと木の匂いで気分が良くなりますし。現場で働く職人ともたくさんコミュニケーションできます。一般の建築よりも多くの対話を交わさなければなりません。そのためか、韓屋を建てると愛情が湧いてきます。文化遺産と考えたりもしますし。リノベでも新築でも、完成すれば大きなやりがいを感じます。

Q.名刺に「建築生物学コンサルタント」とありますが?

 ドイツにしかない特殊な資格ですが、今は欧州に広がりつつあります。ドイツ語で「Baubiologie」といいますが、建築が人におよぼす身体的、心理的影響、建築時に環境やエコシステムに与える影響などを全般的に考慮して建築に取り組もうという分野です。1970年代に建築資材が人の健康に及ぼす影響に関する研究として始まった学問だったのですが、今は概念が広がり、建築資材だけでなく、その資材が作られる過程まですべて考えるようになりました。この分野は建て主に関心がなければ建築に活かすことはできません。

Q.これから挑戦したい分野はありますか?

 アーバンディテールは一般的な現代住宅も設計しています。このような現代住宅で空間を伝統的な視点から再解釈する作業をしてみたいです。絶えず範囲を広げ、他の分野の活動もしてみたいです。

Q.建築士を夢見る青少年に一言お願いします。

 建築家という職業は社会的にロマンチックな職業に見えているようです。ペンを持って設計図面を描く姿が素敵だと思うみたいですが、そんな仕事は10~20%です。公務員を相手にしなければならないし、施工しながら多くの責任も感じます。労働時間も長い方です。職業を選択する時は、自分の性格も考慮してくれたらと思います。何か様々なものを見て創造力を発揮し、自分の作品を作ったり人に会ったりするのが好きなら、建築士という仕事はぴったりだと思います。一日中座っているというより、現場管理を行うなど活動範囲の広い職業です。
文:カン・ソヒ、写真:アン・ヒョンジュン、ゲッティイメージズバンク
チョン・ジョンア『MODU』記者
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:2/4(火) 12:04
ハンギョレ新聞

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