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HIVワクチンへの期待しぼむ 臨床試験で効果みられず

2/4(火) 15:56配信

BBC News

ミシェル・ロバーツ健康担当編集長、BBCニュースオンライン

エイズ(後天性免疫不全症候群)病原体のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)から人々を守るかもしれないワクチンの試験が重ねられ、期待が高まっていた。しかし、それが打ち砕かれた。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、臨床試験「HVTN 702」を中止した。南アフリカで5000人以上を対象に実施されていたが、今回のワクチン注射ではHIVは予防できないと判断した。

専門家たちは「深い失意」を感じているとした。一方で、HIV予防ワクチンの開発は続ける必要があると付け加えた。

ワクチンにはHIVが含まれていない。そのため、個人をHIVに感染させる危険性はない。

■どんなワクチンだった? 

今回の注射は、HIVに対してある程度の防御機能をみせた、最初のHIVワクチン候補(タイの臨床試験「RV144」で使用)の新バージョンを使用していた。

HIVには多数の異なる種類がある。今回のワクチンは、HIV感染率が世界有数の南アフリカでもっとも一般的な型に適合させたものだった。

このワクチンが効果を生み、世界の他の地域でみられる異種のHIVにも応用し得るのではないかという期待が膨らんでいた。

■試験で何があった? 

臨床試験ではボランティアを、ワクチンの注射を受ける人と、プラシーボ(偽薬)の注射を受ける人にランダムに分けた。

速報値では次の結果が出た。


・ワクチンを注射したグループでは129人がHIVに感染


・偽薬を注射したグループでは123人がHIVに感染

NIHのアンソニー・ファウチ博士は、「HIVワクチンは世界的大流行を終わらせるのに不可欠で、私たちは今回のワクチン候補が効くと期待していた。残念だが効かない」と述べた。

また、「安全で効果的なHIVワクチン開発を目指し、他のアプローチ方法で研究は続ける。まだ実現可能だと信じている」と話した。

国際エイズ学会のリンダゲイル・ベカー氏は、「大きな挫折ではあるが、予防ワクチンは探し続けなくてはならない」と述べた。

HIVワクチンは他にも開発が進められている。それらが機能する可能性はまだ残っている。

■HIVはどうやって止められる? 

HIVの感染防止には、暴露前予防内服(Prep)と呼ばれる、薬を使った処置方法が効果的だ。ただしワクチンと違い、定期的に(場合によっては毎日)薬を飲む必要がある。

この処置方法を利用できない国々では、セックスの際のコンドーム使用(または禁欲)が、唯一の効果的な防止策となっている。

近年、抗レトロウイルス治療で大きな前進があり、HIVをもつ人の生存期間が延びている。

テレンス・ヒギンズ・トラスト(イギリスのエイズ関連支援団体)の活動方針責任者デビー・レイコック氏は、次のように話す。

「定期的な検査、コンドーム、Prep、HIVと暮らす人がウイルスを広めないことにつながる効果的な治療を通して、私たちはいま、HIVの流行を終わらせる1世代に1度のチャンスを前にしている。これをつかむことがすごく重要だ」

(英語記事 HIV vaccine hopes dashed by trial results)

(c) BBC News

最終更新:2/4(火) 15:56
BBC News

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