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テクノロジーは、障がい者の“遠慮”を取り除けますか?

2/5(水) 7:00配信

@IT

デザインシンキングで形にしていったTransCommunicator

 TransCommunicatorの開発は、アクセンチュア社内のPwDのメンバーと一緒に、デザインシンキングベースで進めていった。プロトタイプを作成して実際に使ってもらい、多様なフィードバックをもらいながら開発を進めたという。

 「例えば、アクションボタンを用意したのはいいのですが、『押したときに合成音声が出るだけだと、当の本人には聞こえないので、本当にボタンが機能しているのか分からない』というフィードバックを受けて、ボタンを押したことがツール上で見えるようにしました。このように自分たちだけでは気付けなかった有用なアドバイスを得られました」(堺氏)

 現在も、PwDからのフィードバックを踏まえての機能強化は続いている。初期のアクションボタンは、あらかじめプリセットした内容しか発話できなかったが、バージョンアップ後は入力した内容をリアルタイムに発話できるようになった。

 今後は、認識精度や処理のリアルタイム性をさらに追求する他、複数人が不規則に発言する会議の場で、誰が何を発言したかが分かる「話者識別」にも取り組んでいく。またこのツールをベースに、英語をはじめとするさまざまな言語への翻訳機能を組み合わせたり、内容を要約して議事録にしたりと、聴覚障がい者のサポートにとどまらず、幅広い用途を考えていきたいという。

 「アクセンチュアではさまざまな国の出身者が働いており、日本人が英語の議論への参加を躊躇(ちゅうちょ)したり、逆に海外出身者が日本語の議論から置いていかれたりといった、言語の壁による問題はどうしても生じます。その壁を超えて、のびのびと海外の方と一緒に仕事ができる仕組みを目指しています」(堺氏)

 また室山氏や菊池氏からは「感情が読み取れ、表示できたらいいのにな」「頭の中で考えていることを脳波で文字化したり、手話を読み取ったりしてもらえるとうれしい」といった要望も寄せられている。

 これも決して夢物語ではなく、クラシック音楽を聴いたとき、演奏しているときの脳波を読み取って分析し、演奏家と聴衆とのコミュニケーションを可視化するといったユニークな実験が既に行われており、遠からず実現する可能性がある。

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最終更新:2/5(水) 7:00
@IT

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