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「犬鳴村」本巣市でロケ 都市伝説モチーフ映画

2/5(水) 8:18配信

岐阜新聞Web

 「呪怨(じゅおん)」などのホラー映画で知られる、映画監督清水崇さんの新作ホラー「犬鳴村(いぬなきむら)」が7日から全国公開となり、岐阜県内でも各務原、関、本巣市の映画館3館で上映される。九州に伝わる都市伝説をモチーフにした恐怖の物語だが、本巣市根尾越波(おっぱ)の集落でロケ撮影が行われた、県ゆかりの映画でもある。ダムの底に沈んだという伝説の犬鳴村で起こる心霊現象。その怨念は、冬季無人集落の越波にも通じる古里観を伝える。事前の試写会に参加した越波出身の松葉三郎さん(78)=愛知県一宮市=は「撮影地に選ばれて撮影に協力できたことは、まだ越波が滅んでいないという証し」と話す。

 映画は、福岡県に実在し心霊スポットとして話題の旧犬鳴トンネルにまつわる都市伝説がモチーフ。全国各地でロケ撮影が行われたといい、越波では2018年秋、伝説の犬鳴村に見立てて築100年を超える木造家屋などで数々の恐怖シーンが撮影された。

ロケ地の住民は2人

 越波は、福井県境にある山深い集落だ。昭和の時代に住民が集団離村し、現在は、松葉さんの兄・五郎さん(89)ら高齢男性2人が住民登録するのみ。冬は積雪で道路が通行止めになるため、無人集落となる。それでも、春の雪解けとともに古里に“通い“、家屋の手入れをしたり、山菜採りや畑仕事をしたりして過ごす元住民はいる。撮影では前自治会長の松葉さんが、離れて暮らす家主との調整にあたった。

 映画で、越波の風景は犬鳴村として登場するが、モチーフにした都市伝説で犬鳴村は「全ての携帯電話が圏外」で「日本国憲法通用せず」の無法地帯などとされる。対する越波は、松葉さんがソフトバンクと交渉して基地局を誘致。無法地帯について松葉さんは、昭和の時代まで「チョボ」と呼ぶ、サイコロ三つのサイコロ賭博が公然と行われていたことを明かす。

 自身も盆の帰省時に参加したといい、「これを楽しみに帰省する人は多かった。ばくちが始まると、おやじ連中が根こそぎ家中のカネを持って出るから、夫婦げんかもあった」と振り返る。盆踊りは8月に3日間、夕方から早朝まで踊り続けた。越波には、福井県から街道を通って日本海の魚を売る行商人が来たといい、塩漬けのサンマを「サヨリ」と呼んだ。そうした食文化は民謡の歌詞にも残り、盆踊りで古里の味として意識された。

 ダムの底に沈んだという犬鳴村。映画でも“血筋“がキーワードとなる。それは伝説上ながらも、古里をどう守るかという点で越波の未来とも結びつく。

 松葉さんは、3年前に後継者と代替わりするまで自治会長を10年間続け、集落を守ってきた。「もう越波は子や孫にとって生まれ故郷ではない」と話すが、それでも元住民たちは家族を連れて越波に通い、今も年3回の祭りを続ける。松葉さんは、廃村になった村をいくつも見てきた。「交流が続く限り、越波は生き続ける。撮影地に選ばれて撮影に協力できたことは、まだ越波が滅んでいないという証し。映画を通して、いろんな人に越波を知ってもらいたい」と力を込める。

岐阜新聞社

最終更新:2/5(水) 8:18
岐阜新聞Web

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