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国民も政治家も疲れきっている。「EU離脱」後のイギリスで変わったこと、変わらないこと

2/6(木) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「なんだ、こんなものだったの?」

イギリスが欧州連合(EU)から離脱した日の翌朝、そのあまりのあっけなさに多くのイギリス国民がこう思ったはずである。「何も変わっていないじゃないか」と。

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1973年、イギリスはEUの前身「欧州共同体(EC)」に加盟。2020年1月31日までの47年間にわたって、第二次大戦後の欧州統合の枠組みの中にいた。EUで加盟国が離脱することは初めてのこと。イギリスにとって、欧州にとって、そして世界にとっても歴史的な転換を迎えた。

しかし、EU離脱は実現したものの、すぐには何も変わらない。2020年12月末までは「移行期間」となり、年内にEUと急いで自由貿易協定を締結させる必要があるものの、当面は離脱前の状態が維持される。

ゆえに、一般のイギリス国民は「昨日と変わらない今日」を過ごしている。とはいえ、「特別な日」としての盛り上がりが皆無だったわけではない。

「God save the Queen」の大合唱

離脱当日の1月31日。ロンドン中心部・ウェストミンスター宮殿(イギリス議会)前の広場には、3年前の国民投票で離脱に票を投じた人々が国旗をモチーフにした装いで続々と集まってきた。

午後11時の離脱前にカウントダウンを始めるころには、広場にはお祭り騒ぎに加わろうとする人々や報道陣が押しかけて、数千人がひしめきあった。

「ゴーン、ゴーン、ゴーン…」

イギリス国民にはお馴染みの、厳かな鐘の音が響きだした。その一音、一音が「イギリスは、これからいよいよ離脱するのだ」と告げているようだった。集まった聴衆は国歌「God save the Queen(ゴッド・セイブ・ザ・クイーン)」を歌いだした。

歴史的な瞬間にテレビが……

離脱の瞬間はイギリス国内外に広く伝えられた。いかにも国中が熱く盛り上がっているように見えたかもしれない。しかし、必ずしもそうではない。もっと盛り上がるはずだったが、それを抑制する「ブレーキ」もあちこちで働いた。

まず、EU離脱の瞬間に鳴り響いた「ビッグベン」の鐘の音は過去の録音だった。

離脱の瞬間に「ビッグベン」を鳴らすというアイディアは、ジョンソン首相の発案だった。ところが、現在「ビッグベン」は改修工事中だ。

そこで保守党内の強硬離脱派の議員らがクラウドファンディングでお金を集め、一時的に鐘を復活させようとしたが、議会は「一般からの資金を受け取ることはできない」と判断。資金面の調整がつかず、頓挫した経緯がある。

当のジョンソン首相も、離脱のお祝いは小規模なものにとどめた。スタッフや政治記者などを官邸に招き、内輪で小規模な「祝う会」を開いただけだった。

あろうことか、EU離脱の瞬間となる午後11時直前には官邸内のテレビがプツンと切れるアクシデントも発生。仕方なく、ジョンソン首相は手元の鐘を打ち鳴らし、自ら「ゴーン」をやらざるを得なくなった。

離脱の幕開けとしては、思いのほか「アンチクライマックス」だった。

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最終更新:2/6(木) 8:10
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