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固定残業代、ブラック企業で横行する理由 弁護士が明かす「子供だまし」の実態

2/6(木) 7:02配信

47NEWS

 また、歩合給は残業や深夜労働時間に応じて増えるものでもなかった。だから、最高裁は会社側の主張を退け、残業代は払われていない、と判断した。

 ざっくり言えば、「残業代とそうでない部分が明確に分かれてないとダメ」という判断を示したのである。これは「明確区分性」などと呼ばれている。

 ところが、これがきっかけで「明確に分かれてさえいればOK」という考えが広まってしまったのである。

■実は残業代ですらない?

 固定残業代というのは、仮に全く残業をしなかったとしても、払うことが約束されている。また、固定分を超えた場合、当然その分は払わなければならないので、労働時間を把握しなくてよいわけではない。

 つまり、余計な給料を払うはめになる上に、労働時間把握の負担が減るわけではない。建前通りに受け取れば、企業にとって全くメリットは無い。

 しかし、考え方を変えてみよう。もし会社が「残業代」と言い張っているものが、残業代ではなかったとしたら。ただ単に、基本給の一部を切り取って、残業代に名前を変えているだけだとしたら。

 こう考えると、会社側にはメリットしかない。本当は基本給しか払っていないのに、残業代を払ったことにできてしまうからである。

 次の具体例で考えてみよう。これは実務上目にすることが多い「手当型」の固定残業代の例である。

A社 基本給30万円

B社 基本給20万円 固定残業代10万円

 どちらも、「毎月固定で最低でも30万円を払う」という点では全く同じである。

 ところが、残業代については違う。A社では、基本給30万円に「加えて」残業代を払わなければならない。他方、B社では既に残業代を10万円払ったことにできてしまうのである。

 A社とB社で何が違うだろう。10万円分の「名前が違う」だけである。それ以外に何も違いは無い。B社では、会社が恣意的に基本給30万円のうち10万円を切り取って「固定残業代」に名前を変えているだけだ。こんな単純な子供だましが、多くのブラック企業で横行している。

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最終更新:2/6(木) 14:46
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