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東京五輪女子マラソン代表・鈴木亜由子はまるごと天然素材

2/6(木) 16:40配信

東スポWeb

 リズム良く、華麗に道路を駆け抜ける。そんなランナーが女子マラソンの鈴木亜由子(28=日本郵政グループ)だ。昨年9月に行われた東京五輪代表選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で2位に入り、五輪切符を獲得。旧帝大出身の秀才&美女ランナーとして注目を集めるが、真面目な風貌からは想像がつかない意外な一面を兼ね備えている。その素顔とは――。

 東京五輪マラソン代表として脚光を浴びる鈴木だが、中学時代は陸上一本で生活するつもりはなかった。全国中学校体育大会で3度の優勝を果たしても「自分が五輪に出るなんて、想像がつかなかったです」と、高校は愛知県屈指の進学校(時習館高)へ進んだ。大学も陸上の無名校である名古屋大学へ進学。陸上部には入ったが、思うように成績が伸びず、陸上を諦めかけていた。そんな時、東京五輪の開催が決まった。当時のことを「自国開催はすごくモチベーションになりました」と振り返る。

 やる気を取り戻した鈴木は、2014年に新設された日本郵政グループの女子陸上部に1期生として入部し、新たな道を歩み出した。チームの誰もが「どんなときもコツコツ練習している」と話す愚直さで才能が開花。16年リオ五輪では女子5000メートルと1万メートルで代表に選ばれた(1万メートルは棄権)。さらに東京五輪ではマラソン代表の座をつかみ取り、日本屈指のランナーに成長した。

 一方で、陸上以外になると「結構抜けていると思います」と自ら認めるほどの天然キャラだ。「忘れ物したりとか、物を壊したりとか、ちょいちょい人に迷惑をかけることがあります」と反省するが「チームの集合時間には遅れませんが、みんなに迷惑がかからないときは遅れています。チーム全体のは遅れられないので、遅れてもいいなってところでは遅れます(笑い)」。

 コーチからは「亜由子時間」と呼ばれており、ギリギリの時間に姿を現すことは日常茶飯事だという。鈴木を指導する高橋昌彦監督も「周りに流されませんからね」と諦めているとか。さらにはこんなエピソードも。

「(昨年)1月の都道府県対抗女子駅伝で、亜由子は愛知県代表のアンカーを務めていたんです。なのに、招集時間になっても現れなくて。ウオーミングアップ会場を間違えて、道に迷っていたみたいです。スタッフも、さっき出て行ったのは見ましたけどね、と困惑してました。そんな中、慌てて走って戻ってきて、すぐに着替えて走りに行きました。ただ、平静は装っていましたね(苦笑い)」(高橋監督)

 普通のランナーならレースに響くはずだが、肝の据わっている鈴木には全く影響がなかった。高橋監督によれば「序盤からペースを上げるぞって指示したのに上げないんですよ。たぶん(道に迷って)戻ってくるときに一生懸命走ったから、最初は休憩していたんだと思います」。2位でたすきを受け取った鈴木は指示を無視してマイペースでスタートしたが、中盤以降の好走で愛知県を3年ぶり2度目の優勝に導いたのだから、なかなかの胆力の持ち主だ。

 東京五輪に向けて並々ならぬ決意を固めている。鈴木は「皆さんがメダルを期待しているので、メダルを目指していきたい。覚悟を持って本番まで練習に取り組んでいきたいと思っています」。本紙が依頼した色紙には「これまでの自分を越える、課題を乗り越えてスタートラインに立ちたい」という思いから「越える」と記入した。
 女子マラソンはケニア、エチオピアなどアフリカ勢の独壇場が続く。世界の壁を越えるため、持ち前の天然キャラで己の道を突っ走っていく。

 鈴木は、世界中の話題を集める米ナイキ社の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズを「クッション性が高いし、反発力も得られるので」と愛用している。今年1月に厚底シューズ規制の動きが出た際には「どうなるんでしょうね」と漏らしていた。

 しかし、先月31日に世界陸連がすでに流通しているモデルは認めたことで「あ、良かったです」と安堵の表情。高橋監督も「はっきりと分かっていなかったが、世界陸連の指針が出たので安心しました」と胸をなで下ろした。

 鈴木は足の甲が弱く、たびたびケガに苦しんできた。「ヴェイパーフライ」シリーズはソール(靴底)が厚く、足裏から甲にかけてのトラブルを防ぐ効果も併せ持つシューズだけに、東京五輪でのメダル取りへ大きなプラスになりそうだ。

 ☆すずき・あゆこ 1991年10月8日生まれ。愛知・豊橋市出身。小学校から陸上を始める。豊城中(愛知)→時習館高(愛知)→名古屋大学。2014年に日本郵便に入社。15年世界選手権(5000メートル)、16年リオ五輪(同)、17年世界選手権(5000メートル、1万メートル)に出場。18年8月の北海道マラソンでは2時間28分32秒のタイムでフルマラソン初出場優勝。昨年のMGCで2位に入り、東京五輪マラソン代表に。154センチ、38キロ。

東京スポーツ

最終更新:2/6(木) 19:26
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