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空港・駅の車いす利用、アプリで一括手配 ANAと京急ら4者がユニバーサルMaaS連携

2/8(土) 23:16配信

Aviation Wire

 車いす利用者や高齢者など、公共交通機関を使った移動にためらいを感じていた人たちに、もっと気軽に外出してもらおうという取り組みが進んでいる。全日本空輸(ANA/NH)と京浜急行電鉄(9006)、横須賀市、横浜国立大学の4者は2月7日、「ユニバーサルMaaS」の2020年度内実現に向け、連携を始めた。

【空港・駅の車いす利用をアプリで一括手配】

 車いす利用者がスマートフォンで空港から目的地への乗り継ぎルートを検索すると、車いすで走行しやすいルートを案内したり、空港や駅を利用する際には地上係員や駅員へ自動的に連絡されるもので、複数の交通手段を一体的に利用できるようになる。

◆「他人に迷惑かけたくない」

 「MaaS(マース:Mobility as a Service)」は、航空や鉄道、バス、タクシーなどマイカー以外の異なる交通手段を、一つの移動手段として捉える概念。ユニバーサルMaaSは、誰でも利用しやすくする概念「ユニバーサルデザイン」をMaaSに加えたもので、障がい者や高齢者、けがを負った人、訪日外国人も利用しやすい一元的な移動手段を意味し、「誰もが移動をあきらめない世界」をテーマとして掲げている。

 今回の取り組みは、ANAグループ社員が夢を実現する提案活動「ANAバーチャルハリウッド」で2018年に生まれた。発案したANA MaaS推進部の大澤信陽さんは、岡山県に住む91歳の祖母が、他人に迷惑を掛けたくないと上京をちゅうちょしていることを知り、社内提案した。ケータイの写真ではなく、実際に孫と対面することが新たな生きがいにつながったという。

 ANAの平子裕志社長は、「身体が不自由な人だけではなく、すべての人が移動を楽しめるようにし、2020年度内に実運用での連携を開始する」と語った。ANAは、2017年に横須賀市で初開催されたウインドサーフィンのワールドカップで、同市や京急と連携しており、同大会もバーチャルハリウッドで現役機長が発案したものだった。京急の原田一之社長は「沿線の人口減少が課題で、危機感を抱いている」と述べ、これまで外出をためらっていた人にも、同社の鉄道やバスなどの利用を促していく。

 ユニバーサルMaaSのプロジェクトはANAがプロジェクトリーダーを務め、京急が鉄道やバスなど検証環境を提供。横須賀市は市内施設や店舗の情報提供と調整、横浜国大は専門家のアドバイスやデータ分析などを担う。

 平子社長は「潜在需要が1000万人くらいはあるのではないか」と語った。

◆車いす情報を空港や駅で事前共有

 2019年度の実証実験は4回実施済みで、飛行機の乗降時に介助を必要とする、自走式車いすの利用者を想定。羽田空港の第2ターミナルから京急線の馬堀海岸駅をへて、横須賀美術館を訪れるルートで検証した。

 実証実験では、利用者用とサービス提供者用の2種類のスマートフォン/タブレット用アプリを使用。利用者用アプリは、車いす利用者がバリアフリー対応の乗り継ぎルートを検索できる。空港内にエレベーターが複数あった場合、どれに乗れば車いすで移動しやすいかが考慮されたルートが示される。

 空港の地上旅客係員や、駅員が使用するサービス提供者用アプリは、介助が必要な利用者の位置情報や、どのような車いすを使用しているかなどが表示され、事前に準備できる。また、空港や駅に利用者が近づくとアプリが通知するため、受け入れ準備やほかの業務を効率良く進められる。

 利用者が入力した行き先や車いすの種類といった情報は、航空会社や鉄道会社といった事業者に共有されるため、空港や駅へ個別に連絡する必要がなく、利用者はアプリに1回入力すれば済む。事業者側も、種類により対応が異なる車いすへの準備を、利用者の到着前に進められるようになる。

 7日は京急の馬堀海岸駅で、車いす利用者の堀江奈穂子さんがユニバーサルMaaSのアプリを使って乗車し、駅員もアプリで堀江さんの到着を確認して応対する様子が公開された。

 堀江さんは、「どこに着くのか、何駅で着くのかが事前に通知されるので、安心して電車に乗れます。(駅には)事前に通知されて待っていてくれるので、自分の存在が忘れられていないのがうれしいです」とアプリを使った感想を話した。現在は駅や空港では事業者ごとに連絡し、調整がつくまで乗れないこともあり、人身事故で混雑すると乗車を断られることもあるといい、30分で着ける場所でも1時間から2時間程度は余裕を見て移動しているという。

 空港での使用感は、「エレベーターがあちこちにあり、どれに乗っていいかがわからないことがあるのですが、楽で短いルートが表示されます」(堀江さん)と喜んでいた。アプリはこれまでの実証実験で、視覚障害がある人でも使いやすい色や明るさにするといった改良が加えられているという。

 堀江さんは「バスやタクシーとも連携して欲しいです」と、参加事業者の拡大に期待を寄せた。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:2/8(土) 23:16
Aviation Wire

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