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柴犬のケン 札幌の焼き芋店で店番 海外観光客にも人気

2/8(土) 17:30配信

毎日新聞

 柴犬(しばいぬ)が店番する焼き芋屋が札幌市にある。清田区の住宅街の中にある「イヌのやきいもやさん」。店番はケンという名の4歳の雄犬だけ。収益の一部は、殺処分される犬猫などのペットの保護活動をする団体などへ寄付しており、“犬のために犬が働く”お店だ。

【別カット】雪が舞う中、店番をする柴犬の「ケン」

 2018年11月に開店し、翌年に地元テレビで紹介されると評判に。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて世界中に拡散し、今では海外の観光客も多く訪れる。「ロシアの航空会社の機内誌を見て来た」と言う人や、「世界の面白いお店としてネット上で紹介されていて知った」と話す人もいるという。

 犬が店頭に立つ焼き芋屋ができたのは、同じ敷地内で障害福祉サービス事業を行うNPO法人「よつばの会」の村山園人(そのと)理事長が3年前、職員が「食べたい」と言った焼き芋を振る舞ったことがきっかけ。焼けた芋の匂いに近くの高齢者施設の利用者からも「欲しい」と言われ、無料で配って好評を得た。村山さんは「少しでも収益になるなら店を出そう」と思い立ったが、「住宅街に普通の焼き芋屋を出しても買ってもらえない」と考え、施設で飼っていたケンを「店番」に任命した。

 手作りの店は平日の午前11時に開店し、正午から1時間の休憩をはさみ午後3時まで営業。冬季は店内にストーブが置かれる。ケンの世話をしたり、芋の袋にケンのシールを貼ったり、「よつばの会」の施設に通う利用者らも運営を手伝う。

 午前中で芋が完売することや、ケンが疲れて店に顔を出さないこともあるが、客足は絶えない。訪れた人たちは口々に「かわいい」「癒やされる」と言いながら店番するケンの写真を撮っていた。支払いは、芋代200円を店の壁に開けた穴に釣り銭なしで入れていくシステム。外国人にとっては無人販売自体が珍しいこともあり、軒先に置かれた「ケンちゃんノート」には英語や中国語、タイ語などのメッセージも並ぶ。

 環境省によると、全国で殺処分される犬や猫は3万8444匹(18年度)。村山さんは19年秋ごろ、その数の多さを知り、店の収益から北海道内で活動する動物保護団体・NPO法人「しっぽの会」(北海道長沼町)への寄付を始めた。同会の上杉由希子代表は「ケンちゃんという看板犬を通して、動物保護や行き場を失った犬や猫のことを知っていただくきっかけとなっていて、感謝しています」と話す。

 村山さんは今月、インターネットで店のホームページを開設し、ケンのTシャツやぬいぐるみ、シールなどのグッズ物販を始めて寄付活動を広げた。「犬がみんなを助ける。こんな店がもっと増えていい。1人暮らしの学生やお年寄りが犬と触れ合うことができて、犬も社会で働ける。お互いが助け合える笑顔が生まれる場所になりたい」と考えている。【貝塚太一】

最終更新:2/15(土) 10:37
毎日新聞

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