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泥沼化するリビア内戦、各国の代理戦争への危機

2/8(土) 11:08配信

The Telegraph

【記者: Roland Oliphant Abugrein】
 ムアマル・カダフィ大佐による独裁政権が打倒された2011年以降、リビアは暴力の波に飲み込まれている。その渦中で、イブラヒム・ベイタマール将軍は息子2人と右腕を失った。しかし将軍職から退くつもりはない。もちろん、休む時間もない。

 1月末のある朝、私はリビアの爽やかな地中海の海岸線に近いベイタマール将軍の拠点を訪れた。リビア東部に敵勢力が集中していることが発覚し、いら立っていた将軍は、あごで電話を支えながら指令を出し、残った片腕でたばこに火をつけた。将軍は「昨晩は寝ていない」と打ち明ける。「今朝、ハフタルの部隊がワシュカにいた。きのうは全員で夜を徹して対抗策を練っていた」

 この内戦で対立しているのは、首都トリポリを拠点とし、国連(UN)が承認しているリビア国民合意政府(GNA)と、東部ベンガジに拠点を置くハリファ・ハフタル氏率いる民兵組織「リビア国民軍(LNA)」だ。ハフタル氏を批判する人々は、同氏が軍事独裁をもくろんでいるという。

 しかしこの内戦は瞬く間に国際問題となり、外交官らは、大国を後ろ盾にした本格的な代理戦争に発展する事態を防ぐべく躍起になっている。

 1月末には国連安全保障理事会でリビアのガッサン・サラメ国連特使が、1月の停戦合意は「名ばかり」でしかないと指摘した。さらに両勢力の後ろ盾となっている外国政府が約束に反し、目に余る態度で両陣営に「大量の装備や戦闘員、アドバイザー」を注ぎ込み続けていると述べた。「両勢力に装備を提供するこうした工作すべては、これまでよりずっと危険な新たな惨禍を引き起こしかねない」と、サラメ特使は警告した。

 昨年4月、ハフタル氏がトリポリに仕掛けた攻撃から始まった内戦によって、これまでに2000人以上が命を落とし、民間人15万人が避難を強いられた。

 人口わずか600万人のリビアでは両陣営ともに戦闘員が不足し、寄せ集めの即席武器を持った訓練不足の兵士らが手に入れた陣地にしがみつこうと、小規模な戦いを続けている。主な武器は非正規品ばかりだ。トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」に機関銃や対空砲、コーネット対戦車ミサイルやロケット砲などあらゆるものを搭載している。

 ハフタル氏の首都への攻撃は、発生直後からトリポリ南部の郊外でとどまっている。戦況が行き詰まる一方、どうしても勝利をものにしたいハフタル氏によって停戦に向けた試みは頓挫した。

 1月14日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領の呼び掛けによりロシア・モスクワで行われた和平協議で、GNAのファイズ・シラージュ暫定首相は和平合意に調印したが、ハフタル氏はしなかった。

 ハフタル氏はそれ以前にもGNAを裏切った部隊の助けを借りてシルトを掌握し、東部の前線を広げてこう着状態を打開しようとした。そして1月下旬、ハフタル氏は東部で攻勢を強め、ミスラタから南に60マイル(約96キロメートル)離れた砂漠の町、アブグレインを掌握するために技術者や武装車を送り込み、さらには空爆を行った。しかし、これまでの攻撃同様、ひどい結末を迎えた。

 戦闘は瞬く間に無秩序な撃ち合いになり、武装車で走り回って機関銃やロケット弾で数百メートル離れた相手を攻撃する形となった。混乱した戦闘が4時間続いた後、ハフタル氏陣営の戦闘員が退却。GNAの兵士11人が死亡し、100人以上が負傷した。戦闘に参加したGNAの兵士は「勝ったのは奇跡だ」と述べた。

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最終更新:2/8(土) 11:08
The Telegraph

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