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10年間負けなしのリネールを破った歴史的「内股すかし」 篠原さん“誤審”因縁の技

2/10(月) 18:33配信

毎日新聞

 柔道グランドスラム(GS)パリ大会最終日の9日、男子100キロ超級の影浦心(24)=日本中央競馬会=が、約10年間無敗だった「絶対王者」のテディ・リネール(30)=フランス=から大金星を挙げた。決着をつけた技は、日仏柔道界因縁の「内股すかし」だった。【松本晃】

【ガッツポーズする篠原だが…】

 歴史的勝利を決めた内股すかしは日本にとって20年前の苦い敗戦と記憶が重なる。2000年シドニー五輪男子100キロ超級決勝で、篠原信一さん(47)が1996年アトランタ五輪95キロ超級覇者のフランス代表、ダビド・ドイエさん(50)の内股に切り返して仕掛けた技だ。もろとも畳に倒れ込んだが、ドイエさんの「有効」と判定された。

 日本の猛抗議も実らず、篠原さんは敗れた。後に国際柔道連盟(IJF)も「両者にポイントを与えるべきでなかった」と認めた「世紀の誤審」でビデオ判定導入のきっかけになったシーンだ。続く04年アテネ五輪の男子100キロ超級金メダリストの鈴木桂治さん(39)を育てた岩渕公一・国士舘高柔道部監督(64)は「同じフランスの選手相手で、同じ技というのは因縁だね」と振り返る。

 内股すかしは、内股を狙って自らの股の間に脚を差し入れてきた相手に切り返す技だ。相手が脚でこちらの内ももをはね上げてきたところをかわし、相手が前のめりになる勢いを利用して釣り手で前に押し込み、転がす。岩渕氏は「瞬間的に相手を手でコントロールしているが、主審から見えづらい。相手の仕掛けた技の力を利用することもあり、自分からひっくり返ったように見えてしまう」と判定の難しさを語る。

 以来20年、柔道の国際的普及も進んで技への理解が浸透したことや、ビデオ判定が定着したことで、この返し技が見落とされることは少なくなった。影浦が内股をかわし、体を浴びせてリネールの半身を畳につかせた時も、正確に影浦の技ありが認められ、混乱することはなかった。

 柔道創始国の日本にとって、「柔道界最強」を決める東京五輪の男子最重量級は決して譲れないタイトルだ。この階級の日本代表争いはまだ続くが、最大のライバルであるリネールの連勝を154で止めたことで日本勢は一気に活気づく。内股すかしの苦い記憶も塗り替わった。

最終更新:2/11(火) 0:12
毎日新聞

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