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乗用車が売れない…自動車産業は今年も“荒天”の予感

2/10(月) 7:15配信

SankeiBiz

 最近、ある資料をまとめていて驚いたことがある。米国の自動車販売台数のうち、乗用車の占める割合は、2015年の44%から19年は28%に低下しているのである。乗用車以外といえば、分類上は小型トラックとなり、ピックアップトラックなどが主流となる。つまり、日本で想像している以上に、日系自動車メーカーが得意とする乗用車は売れず、見向きもされなくなってきているといえる。今回のこの話を起点に、今年の自動車産業について考えてみたい。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

 ◆米国市場の変調

 米国自動車産業に変調が生じている。15年の約1750万台から長期低落傾向を示し、19年は約1700万台まで減少した。では人口そのものが減っているのであろうか。そんなことはない。15年の人口は3億2100万人であり、19年には3億3000万人まで微増している。ニューヨークダウは、15年初の1万7400ドルから19年末にて2万8500ドルまで上昇し堅調である。ではなぜ自動車販売台数が長期低落傾向を示し、乗用車分野は19年に28%まで減少したのであろうか。

 あの広大な土地でも、特に都市部では購入から利活用への動きが顕著化しているのであろうか。恐らく詳細な分析結果が出されるであろうが、筆者の直感ではそれ以外にもいくつかの要因があるように思える。

 一つは、あれだけ批判されても根強い人気のある“トランプ現象”である。今秋には大統領選挙を控え、ますますヒートアップしていくと思われる。根強いトランプファンは「強いアメリカ」のイメージを好むように思われる。

 以前、筆者が幾度も米国を訪問した際、特に中西部などでは若者から年配の人までピックアップに乗っている人が多いことに驚いた。なぜピックアップトラックに乗っているかと聞けば、「マッチョでスポーツだ」と答える人が多かった。

 思わず「えぇ~っ!」と思いがちであるが、米国ではそのようにとらえる人が多い。現にピックアップトラック市場は堅実に伸びている。

 その流れをつかんだのがテスラであろうか。昨年11月に、テスラは同社初となる電動ピックアップトラック「サイバートラック」を発表した。人々の想像をはるかに超え、マッチョで斬新なデザインに、ぶっ飛んだ人も多かったであろう。なんと予約は25万台を超えたとのこと。

 もう一つの要因として、最近の若者は、スウェーデンの17歳の女の子、グレタ・トゥンベリさんの影響や、国連のSDGs(持続可能な開発目標)活動に関心を示し、ガソリン車に対して、自動車は利用するものの購入しないという層が増えているのではないだろうか。10代、さらにはミレニアル(23~38歳)世代が支持しないと将来は厳しくなる。また彼らは自動車に対する関心そのものも薄れているのかもしれない。

 そうなると、20年もこの傾向は続き、全自動車販売台数が減少し、かつ乗用車はさらに低下して比率25%程度まで落ちるように思われる。このことは、日系自動車メーカーに大きな影響を及ぼす。トヨタ自動車はピックアップトラックのタンドラやタコマを有しているからまだ良いものの、他自動車メーカーは売れ筋の乗用車分野がシュリンクしてしまい、インセンティブ(販売奨励金)を手厚くするにしても、ますます経営的に窮地に追い込まれる。

 ◆新型肺炎が追い打ち

 今年は新型肺炎の猛威が追い打ちをかける。中国・武漢は日本からホンダや日産自動車、デンソーなど自動車関連企業が数多く進出している。これらが生産停止に追い込まれると影響は大きくなる。また、既に北京や上海でも発病しており、どこまで広がるのか予断を許さない状況にある。02年11月に中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、世界保健機関(WHO)がSARS封じ込めとしてアナウンスしたのが03年7月であり、抑え込むまでに約半年以上有している。

 このように考えると、世界で最も自動車販売台数が多い中国と米国で大変調が生じることは、20年もほぼ一年を通じて荒天が続くと予想される。自動車メーカーのみならず、自動車部品メーカーもどう生き残っていくのか、それを探し出すサバイバルの年となるのではないだろうか。

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【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。63歳。福井県出身。

最終更新:2/10(月) 7:15
SankeiBiz

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