物の見え方に異常があるとき、まずは目の病気を疑い眼科を受診するかと思います。しかし目に限らず、症状が表れた器官とは別の場所に根本的な原因があることも少なくありません。今回は、物が二重に見えるなどの症状が現れる危険な病気の1つ「外転神経麻痺(まひ)」の原因と治療について説明します。【東京都立多摩総合医療センター脳神経外科医長・太田貴裕/メディカルノートNEWS & JOURNAL】
2カ月ほど前からなんとなく見えにくさを感じていた65歳の女性のケースです。目の前の物が二重に見えて目の焦点が合わない感じがします。右側を見るときちんと見えるのですが、左側を見ようとすると両眼の見え方のズレ幅が大きくなるといいます。この2週間ほどは頭痛があるとのことで、詳しくお話を伺うと左眼の奥のあたりが痛むということでした。
眼科を受診し、左瞳孔が内側を向いている状態で「左側の外転神経麻痺」と診断、「脳神経外科で診てもらってください」と言われました。
物が二重に(2つに)見えることを「複視」といい、さまざまな原因があります。そのうち、ご自分の手で片目を隠した時、片目では左右どちらでも1つに見えるのに両目では2つに見えるならば脳神経外科で診察や検査が必要です。目が2つあるのに、物が1つに見えるのは、両目が同時にうまく調節して動いてくれるからです。そうした調節に関わるのは第3脳神経(動眼神経)、第4脳神経(滑車神経)、第6脳神経(外転神経)の3つで、どれか1つでも障害されると「複視」が出現します。
今回のテーマに関わる外転神経は、眼球を外側に動かす神経で、まひすると眼球が外側へ向かなくなり、正面を見ているつもりでもまひした側の眼球が内側を向いてしまいます。両眼で同じ方向をみることができなくなりますので患者さんは複視を自覚します。複視は、まひ側を見ようとすると悪化します。
通常、片眼に起こることが多いですが、脳腫瘍などで頭蓋(とうがい)内圧が上昇した際は、両眼で起こることがあります。
最終更新:2/10(月) 11:40
Medical Note





























読み込み中…