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18歳で「人生終わった」男性が、車椅子で世界一周した話

2/10(月) 16:36配信

BuzzFeed Japan

18歳で事故に遭い、頸髄損傷の宣告。一度人生の終わりを見た彼は、なぜ「車椅子トラベラー」として世界一周の旅に出る決心をしたのか。【BuzzFeed Japan / 島田花】

「僕はどこにでも行ける」

そんな言葉とともにTwitterに投稿された動画には、車椅子に乗って、一面に広がる湖にたたずむ男性の姿が映っている。

場所は南米ボリビアのウユニ塩湖。日本とはほぼ地球の裏側に位置する異国に、彼は一体どうやって辿り着いたのだろうか?

「車椅子トラベラー」。三代達也さん(31)は、自身のことをそう名乗る。28歳の時に、勤めていた会社を辞め、世界一周をすることを決意。約9ヶ月をかけて、23ヵ国42都市を巡った。

手や足が思うように動かないというハンデを負いながら、彼はなぜ旅を続けるのか。その思いを取材した。

「人生、終わりだと思った」

「肩で風を切って歩いちゃう感じのやつでした」。三代さんは、自身の高校時代をこう振り返る。

つまらないと思った高校を1年でやめ、持て余した時間にバイクを乗り回したり、ガソリンスタンドでバイトをしたりする日々を送っていた。

そんな日常がガラッと変化したのは、18歳の時のこと。バイトの帰り道、いつもと同じようにバイクに乗っている際、車との大事故に巻き込まれたのだ。突然車が目の前に現れると、気付いた時には吹き飛ばされ、意識を失った。

一命はとりとめたものの、頸髄損傷という重いけがを負った。リハビリの成果で車椅子に乗れるまでに回復したが、再び自力で歩けるようになることはない、と分かった。周りからかけられる、励ましの声に耳を傾ける気にはなれなかった。

「『ああ、人生終わりだ』と思いました。周りの人からかけられる『大丈夫だよ』『なんとかなるよ』って言葉が1番サムかった。誰にも自分の気持ちは分かるわけないと思ってました」

「おまえ甘ったれてんなあ」

自分の将来を考え、絶望する日々。そんな時、ある男性からかけられた「おまえ甘ったれてんなあ」の一言が、人生を変えるきっかけとなった。

三代さんは彼を「師匠」と呼ぶ。出会った当時50代だったというその男性は、リハビリ施設の同室に滞在していた。

「4人部屋で、師匠は僕の左斜め前のベッドでした。食堂に行くのが面倒で、看護師さんに部屋まで食事を持ってきてもらってる僕を見て、おじさんが通りすがりに『甘ったれてんなあ』って言ってきて。その時は正直『あ?何言ってんだ』と思いました(笑)」

男性のぶっきらぼうな言葉に、最初はむかついたという。しかし男性が三代さんと同じ障害だったこともあり、だんだんと打ち解けていった。

三代さんが帰省する日のこと、茨城の実家から静岡にあるリハビリ施設まで、親に車で迎えに来てもらうことを「師匠」に話すと「電車で帰ってみろよ」と言われた。

思い切って、ひとりで電車に乗り、実家まで帰る挑戦をすることにした。不安を抱えながらも、何とか辿り着いた先で待っていたのは、嬉しそうな両親の笑顔だった。

「一人で電車で帰って来た僕を見て、本当にすっごい嬉しそうで。『僕が頑張ると周りの人をこんなに喜ばせられるんだ』って思えました」

その後も三代さんは、「師匠」のアドバイスを受けながら出来ることを次々と増やしていった。そして1年半という入所期間のすえ、リハビリ施設から退院することが決まった。

「お前ここを出たらどうするんだ」と聞かれた三代さん。「実家に戻って暮らそうと思っている」と伝えると、返って来たのは「本当にそれでいいのか?」という言葉だった。

「今振り返ると師匠は、僕が実家に帰って、引きこもってしまうことを心配していたんだと思います」

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最終更新:2/10(月) 16:39
BuzzFeed Japan

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