ここから本文です

景気回復のトリガーが見えない電子デバイス業界

2/10(月) 20:20配信

LIMO

本記事の3つのポイント

 ・ JEITAによれば、電子情報産業の世界生産額は、対18年比で1%増の2兆9219億ドル。これが20年には対19年比で5%増の3兆807億ドルに達し、過去最高を更新する見通し
 ・ 19年における電子デバイスの世界生産額は、対18年比で8%減の7550億円。しかし20年には対19年比で5%増の7914億円に達する見通しである。5Gの進展やIT投資が牽引
 ・ 世界市場の4割を握る国内の電子部品産業にも期待。半導体と異なり、原材料メーカーとの密接な関係、製造設備の内製化なども、参入障壁の1つ

 電子情報技術産業協会(JEITA)は、2019年12月に「電子情報産業の世界生産見通し」を公開した。

 19年(1~12月期)における電子情報産業の世界生産額は、対18年比で1%増の2兆9219億ドル。これが20年には対19年比で5%増の3兆807億ドルに達し、過去最高を更新するとの見通しを立てた。

 この根拠の背景にあるのが、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスの始まりである。5Gは周波数帯6GHz以下からスタートし、やがてはミリ波帯に突入して、巨大マーケットを形成すると期待されている。

 5Gの到来で、各企業においては攻めのIT投資が続くことで、ソリューションサービス需要が大きく拡大する。また、大容量データを高速処理するニーズを満たすため、電子機器端末の高機能化をさらに加速させることになる。これにクルマへの安全意識と電装化率向上が加わり、機器に内蔵される電子デバイスも大躍進するという解釈である。

 JEITAが示唆する電子情報産業とは、大きく6ジャンルで構成される。(1)は「AV機器」で、薄型テレビが主役となる。(2)は「通信機器」で、主役はやはりスマートフォンである。(3)は「コンピューターおよび情報端末」のジャンル。パソコンに加え、ディスプレーモニターやプリンター、スキャナ―など周辺の情報端末とともに2本柱で構成される。(4)はその他で、電気計測器や医用電子機器などを示唆する。

 そして、(5)が電子部品、ディスプレー、半導体で構成される「電子部品・デバイス」と(6)の「ソリューションサービス」である。

 20年に3兆円の大台に乗るとの見通しだが、それだけの市場規模を築くのに相当する、牽引役となるアプリケーションが見当たらない。

 (1)の薄型テレビは、東京オリンピックに4K・8Kが連動し、なおかつ買い替え時期も重なり景気到来が再来するとのこと。買い替え時期とは、かつて地上デジタルテレビ放送への切り替え時、初めて薄型テレビを購入した層のことで、この層が買い替え時期を迎えるとの意味合いだ。どう考えてもこれはパネルメーカー側の理論で、現状とは乖離しているように思われる。

 では、(2)のスマホは今後、どのように進化するのであろうか。IoTビジネスが各企業で本格化すれば、個人ユースではなく、ビジネス端末として新市場が生まれる可能性がある。そのときのスマホ供給リーダーは北米ではなく、中国メーカーが主権を握りそうだ。生産は台湾や中国のEMS(受託製造サービス)ではなく、東南アジア域のEMSが立ち上がってくる。

 (3)のコンピューター関連の領域は、データセンターのサーバー躍進に期待したい。17~18年にかけて、電子情報産業の好景気を招いた一翼は、クルマとともにデータセンターの躍進も見逃せない。とりわけ、流行語にもなった「インスタグラム」の貢献度は大きい。

 写真情報の変更が頻繁に実行される、インスタグラム保有のデーターセンサー内ホットストレージ(記憶)に注目。ここでNANDフラッシュをはじめとするメモリー不足が起き、デバイスメーカーのみならず、製造装置・材料業界にも好景気をもたらした。半導体関連メーカー各社とも、株価が高値で推移したことは、まだ記憶に新しい。

 好況を呼び込むインスタグラム並みの牽引役が再来するであろうか。データセンターはGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)サーバーを駆使して、AI(人工知能)学習の役割も担っている。このとき、生データを記憶させるのに大量のNANDフラッシュが不可欠となる。これを起爆剤に好況が再来すればよいのだが、AIの進化速度を見ていると、まだまだ時間がかかりそうである。

 電子情報産業の今後を、少し悲観的な視線で見てしまった。やはり車載の領域が取り込まれていないからであろう。かつてスマホはカメラ機能なども取り込み、電子機器の市場地図を塗り換えてしまった。今後、そのスマホさえも、車載インフォテインメントとして取り込んでしまうのがクルマである。クルマはもはや産業用/民生用の両電子機器機能を取り込んだ、電子情報産業の集合体と表現できよう。JEITAの次なる視点と取り組みに期待したい。

1/2ページ

最終更新:2/10(月) 20:20
LIMO

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ