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380mm砲搭載の移動要塞 ドイツの秘密兵器「シュトルムティーガー」の威力

2/11(火) 10:04配信

乗りものニュース

戦艦と同じ口径の巨砲を積む「嵐の虎」

 第2次世界大戦中、ドイツは様々な戦闘車両を開発しました。なかでも「ティーガー(タイガー)I」重戦車はよく知られますが、その唯一の派生型である「シュトルムティーガー」の知名度は、それほどではないかもしれません。

【写真】口径サイズは戦艦の主砲と一緒 現存する「シュトルムティーガー」の主砲

「シュトルムティーガー」のいちばんの特徴は、搭載する巨大な砲です。短砲身ながら、口径(砲身内径)は380mmもあります。一概に比較はできませんが、ドイツ海軍が第2次世界大戦で使用したビスマルク級戦艦の主砲が38cm連装砲で、長さこそ異なりますが、単純に口径だけでいえば、同レベルの大きさだったといえるでしょう。

 2020年現在、世界で広く使われている戦車砲は105mm砲や120mm砲、125mm砲などであり、それらの3倍も大きい口径というのはかなり異様です。

 ただし、この380mm砲は戦車砲ではなく、ロケット弾を発射するものでした。ドイツでは臼砲に分類していましたが、「臼砲」とは本来、射程よりも破壊力に比重を置いた短砲身の大口径曲射砲のことで、撃ち出すのは砲弾であり、ロケット弾ではありません。「シュトルムティーガー」の380mm砲は、よって正確にはロケット砲ですが、ともあれ見た目は臼砲のようです。

 他方で、「シュトルムティーガー」の380mm砲はロケット弾を撃ち出すため、りゅう弾砲やカノン砲のように装薬(発射薬)を必要とせず、射程は通常の臼砲よりも長いというメリットをあわせ持っていました。

 このように、特殊な砲を搭載する「シュトルムティーガー」は、いったい何のために作られたのでしょう。

市街戦を想定した「移動要塞」

「シュトルムティーガー」が搭載した砲は正式には「38cmロケット砲StuM RW61」といい、元々はドイツ海軍が、沿岸に近付く敵艦船を陸上から攻撃するために、1940年代初頭に計画したものです。

 StuM RW61は1943(昭和18)年初めにほぼ完成しましたが、ドイツ陸軍が、このような兵器は海軍ではなく自分たちの管轄下に置くべきだと頑なに主張した結果、陸軍の装備になりました。こうして強力な新装備を手に入れた陸軍は、この砲を自走化し、当時劣勢が続いていたスターリングラード戦に投入することを計画します。

 スターリングラードとは、現在はヴォルゴグラードに改称したソ連(ロシア)南西部に位置する都市で、第2次世界大戦ではドイツとソ連が熾烈な市街戦を繰り広げた激戦地です。

 市街戦のため、建物や路地のひとつひとつで敵味方が入り乱れて戦っており、このような状況下では射程よりも破壊力の方が重要です。建物ごと立てこもる敵を撃破する、いうなれば移動要塞のような自走砲としてStuM RW61を使おうとドイツ陸軍は想定しました。

 ただしStuM RW61は、大きすぎて既存の自走砲の車体には搭載できなかったため、「ティーガーI」重戦車の車体を流用することになりました。こうして「ティーガーI」の数少ない派生型として「シュトルムティーガー」ができました。

 しかし陸軍は当時、1両でも多くの戦車を欲しており、新造の「ティーガーI」の車体をほかの用途に割くことを、当時の機甲兵総監ハインツ・グデーリアン将軍が反対します。そのため「シュトルムティーガー」は、修理のために前線から引き揚げられてきた損傷車体を流用して製作されることになりました。

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最終更新:2/12(水) 14:29
乗りものニュース

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