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新しい“耳の端末”、働き方改革の救世主に

2/11(火) 16:03配信

ニュースイッチ

『消化ポンプ:圧力』
「12.3」
『消化ポンプ:外観』
「液漏れあり」

 耳に装着したウェアラブル端末「ヒアラブルデバイス」に届く音声指示に30代の男性作業員が声で応じると、設備の点検記録がタブレット端末に蓄積された。

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 東京都内の病院にある地下の機械室で今冬、ある実証実験が行われていた。空調設備大手の高砂熱学工業とヒアラブル端末を企画開発するベンチャーのネイン(東京都渋谷区)が熱源設備の点検業務におけるヒアラブル端末の有用性を検証したもので、作業時間を従来比で1割削減できた。タブレット端末に手で入力していたこれまでに比べて目や手を移動せず記録できる分、作業が効率化された。

 高砂熱学工業の井上正憲理事は「(建設・保守の業界は)人手不足が深刻化しており、待ったなしの課題になっている。(作業時間を削減できるヒアラブル端末の)需要はある」と確信し、ネインと共同外販する体制整備を決めた―。

 ヒアラブル端末が建設・保守や倉庫、工場など作業現場の働き方を改革するツールとして注目され始めた。作業を止めて手や目を移動せずに声で操作できるため、多様な業務を迅速化できる。搭載したセンサーにより作業者の生体情報を取得し、健康管理に生かすツールとしても期待される。そうした需要に対してはベンチャーだけでなく、NECなどの大手も動き出した。

 「企業の人手不足が顕著になり、業務を効率化するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)機運が高まる中で(ヒアラブル端末が)注目されている」。ネインの山本健太郎CEO(最高経営責任者)は実感をそう漏らす。AIスピーカーの登場から約2年が経ち、音声で操作するVUI(ボイス・ユーザー・インターフェース)の価値が認知されてきたことも追い風という。

 同社は2016年にスマートフォンに届いたメッセージを読み上げる機能を搭載したヒアラブル端末の展開を始めた。音声認識の精度向上など技術の進化を踏まえてスマホの次のUIを想定する中で、人がディスプレーを見ず情報を取得する時代の到来を予見したからだ。

 18年からはメッセージの読み上げ機能が求められる法人の課題の洗い出しに注力し、たどり着いた現場が建設・保守業務だった。「当初は介護・医療・運送業務などの手が離せない場面を思い浮かべていたが、建設業が人手不足により強い危機感を抱いていた」(山本CEO)。

 高砂熱学工業は人手不足の課題を解決するイノベーションを模索し、ベンチャーのアイデアや技術力を求めていた。その中で18年にネインと出会い、協業を決めた。今冬の実証実験の結果を踏まえ、ヒアラブル端末の活用を決めた。本年度内に高砂熱学グループで保守メンテナンス事業を手がける高砂丸誠エンジニアリングサービス(同港区)に導入するほか、20年度中に建設・保守現場を中心に外販を始める。

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最終更新:2/11(火) 16:03
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