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【台湾】300社が中国工場の再開延期 未許可と人不足で、正常化遅れか

2/12(水) 11:31配信

NNA

 台湾の上場・店頭公開企業のうち、少なくとも300社が10日に中国工場の稼働、中国子会社の営業を再開しなかったことが、NNAのまとめで分かった。再開申請の審査を待っていたり、稼働許可を受けたものの、人手不足だったりしたことが主因。EMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業が再開許可を取得したと伝えられたが、大手各社の生産正常化には来月まで待つ必要があるとの指摘も出ている。

 上場・店頭公開企業が10日午後11時59分までに発表した中国工場・中国子会社の状況に関する同日の公告をまとめた。10日に稼働を再開しなかったことを発表した企業は少なくとも計287社。再稼働の延期を11日に発表した企業も同日正午過ぎの時点で14社あり、少なくとも301社が10日の稼働を見送ったことになる。江蘇省や広東省、上海市など台湾企業の集積地での延期が目立った。

 中国の主な地方政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、企業に春節(旧正月)連休明けの営業再開を9日まで控えるよう指示。ただ10日に企業が一斉に営業を再開すれば感染リスクが高まるとして、市場では各地方政府が一斉に営業再開を認めるかどうかを疑問視する声も出ていた。

 各社の間では稼働を再開しなかった理由として、「再開申請を出したが、現在審査待ちの状態」や「申請の審査は通ったが、稼働許可の通知が届かない」と説明するケースが多い。一部企業は「都市の人の往来を規制する地方政府の措置によって、従業員が工場に戻れなかった」と説明した。

 再稼働の日時は「政府の許可を待って決める」とする企業が大半で、流動的な状況が見てとれる。再開時期を明記した企業では今週から来週にかけての再稼働を予定するとしたケースが多かったが、「稼働時期が2月末に延びる」とみる上場企業もあった。

 非製造業では、百貨店経営の遠東百貨(ファーイースタン・デパートメント・ストアズ)が重慶市の百貨店「重慶大都会広場太平洋百貨」の営業を今月24日まで引き続き停止すると発表。「誠品(eslite)」ブランドの書店や雑貨店、ホテルを展開する誠品生活は、江蘇省蘇州市と広東省深セン市に持つ店舗の休業を17日まで延長すると明らかにした。

 ホテルチェーンを展開する富驛酒店集団(FXホテルズ・グループ)と、エステティックサロン経営やスキンケア製品販売を手掛ける佐登ニ絲国際(ニ=女へんに尼、バイオ・ジョデンニス・インターナショナル)も、中国子会社の営業再開を延期した。

 一方、10日に営業の再開を発表した企業は少なくとも33社。一部の企業は、販社やバックオフィス機能の中国子会社を自宅勤務に切り替えて、オフィスに出社できない状況に対応した。

 今後は「工場や従業員宿舎、食堂の衛生管理の強化」や「海外工場の生産拡大」などで対応するとした企業もあった。

 ■EMSで人員不足

 台湾のEMS各社は、中国工場を10日に再稼働する動きが目立った。

 11日付経済日報によると、和碩聯合科技(ペガトロン)、広達電脳(クアンタ・コンピューター)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、緯創資通(ウィストロン)、英業達(インベンテック)のEMS大手5社はそれぞれ、中国各地に持つ工場を10日に再稼働した。

 経済日報は10日夜、外電を引用して「鴻海の河南省鄭州工場と深セン工場が現地当局から稼働許可を得た」とする関係筋の話を伝えた。深セン工場は11日から一部の生産を始めるという。

 ただ鴻海は11日までに、コメントを出していない。鴻海の2工場を巡っては、稼働再開が少なくとも17日以降に延びるとする報道もこれまでに複数出ていた。

 一方、EMS各社の生産正常化には時間がかかる見通しだ。

 春節連休が明けて帰省先などから工場がある都市に戻った従業員に対して、2週間の隔離措置を取るよう求める地方政府が多い。10日に出社したのは工場そばに住む従業員のみとされる。再稼働したEMS5社も工場に配置する人員が不足していることを認めた。

 業界では、「各社工場の稼働率は現在3割止まりで、従業員の隔離措置と人員募集の困難という悪材料を踏まえれば、3月に入らないと生産が正常化しない」とみられている。

 ■電子部品が生産開始

 一部業種は予定通り生産を再開した。

 台湾パネル大手の群創光電(イノラックス)は10日、浙江省寧波市、広東省仏山市、上海市にそれぞれ持つ工場の生産を再開。同業大手の友達光電(AUO)は元々、中国工場の生産に影響が出ていなかった。

 ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)も上海市と江蘇省南京市の工場を再開した。

 電子部品では、光学レンズの玉晶光電の福建省厦門(アモイ)工場、放熱モジュールの双鴻科技(オーラス・テクノロジー)の広東省広州工場と安徽省合肥工場、ヒートパイプなどの泰碩電子(タイソルエレクトロニクス)の蘇州工場と広東省東莞工場がそれぞれ10日に生産を始めた。

 台湾食品大手で、中国各地に30カ所以上の工場を持つ統一企業(ユニプレジデント)は10日、大半の工場を再稼働。同業大手の味全食品工業は、粉ミルクや飲料の浙江省杭州工場、ヨーグルトの広州工場をそれぞれ再開。河北省坊廊工場は15日に生産を始める予定だ。

最終更新:3/27(金) 16:15
NNA

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