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『幻想マネージュ』声に出して聞きたいフランス語「マドモワゼル」「モナムール」が聞ける!【乙女ゲームレビュー】

2/12(水) 17:01配信

エムオンプレス

現実から離れ、ひとときの夢の時間を過ごしたい……そんな気持ちを叶えるために遊園地に出かけることはありませんか? そして1日の終わりには「ずっと楽しんでいたい、帰りたくない」と思うのではないでしょうか。でも、もし遊園地に囚われ、夢の世界から出られなくなってしまったら、あなたはどうするでしょう? 今回ご紹介する『幻想マネージュ』は、移動遊園地を舞台にした女性向け恋愛アドベンチャーゲームです。”マネージュ”とはフランス語で”回転木馬”、つまりメリーゴーランドのこと。きらめく装飾、豪奢な木馬。メリーゴーランドは遊園地を象徴する乗り物です。本作はそんな”マネージュ”が物語に深く関わっているのです。

【画像】乙女ゲーム『幻想マネージュ』プレイ画面など

『幻想マネージュ』は株式会社MAGES.(メージス)の乙女ブランド”LOVE&ART”によるNintendo Switch初タイトル。2019年にNintendo Switch Liteが発売され、2020年はいよいよSwitch乙女ゲーム元年になりそうな予感。先陣を切るかのごとく発売された本作は、今最も注目すべき乙女ゲームタイトルといえるでしょう。では、その内容を見ていきましょう。

文 / みかめゆきよみ

◆夢を見せる場所が、悪夢を見せる場所に
舞台はフランスの国境付近にある街・ブランブール。そこに暮らすエマは魔女の女の子です。しかし10歳の時に事故に遭い、その時の記憶とともに魔法の力も失ってしまいます。

ある春の日、ブランブールにレーヴ移動遊園地がやってきます。そこでエマは園長ヒューゴと出会い、「レーヴで働く人間は魔法で遊園地に囚われている」ことを知ります。そこでエマはレーヴで働きながら、自身の魔法の力の覚醒と彼らの解放を目指すのです。

夢のような空間であるはずの遊園地。しかしレーヴは、囚われた人にとって永遠に醒めない悪夢の空間でもあります。遊園地に囚われた彼らが来園者に夢を見せる……、なんという皮肉でしょうか。残酷だけど美しい、その矛盾に不思議な魅力を感じます。

▲レーヴ移動遊園地は「ハーメルン事件」に関わっているという黒い噂も……。ハーメルン事件とは何なのか? さまざまな謎が物語を盛り上げます

芽生える「仲間意識」との葛藤
プレイヤーはレーヴで働くキャラクターたちと交流し、失った10歳の頃の記憶、魔法の秘密、レーヴの謎に迫っていきます。本作は体験版もあり、各キャラクターの性格がわかる3章まで遊ぶことも可能です。ここではキャラクターたちを軽くご紹介。

レーヴの園長であるヒューゴ。社交的で笑顔が眩しい! 基本的に優しい性格ですが、たまに大胆に迫ってくるので気が抜けません。園長ゆえに主人公と交流する場面が多く、マネージュとのつながりも人一倍あり、主人公との因縁も浅からぬ様子……。

天涯孤独のエマと幼なじみで家族同然のアルノー。エマが魔女であることを知る数少ない人物のひとりです。他のキャラクターがレーヴに囚われ、やや現実離れしている分、アルノーは「こちら側」の人として主人公と接してくれる貴重なキャラクターです。

レーヴの経理を担当するセルジュ。クールな眼鏡キャラと思いきや、ヒューゴ第一主義という一面も。そのギャップがたまりません。ピアノの腕もピカイチ!

レーヴのパフォーマーのクリエ。ツンデレな性格で、ぶっきらぼうな物言いをしますが、実は面倒見のいい優しい人。彼だけレーヴから出ることができます。そんな彼がなぜレーヴに在籍しているのか、謎が深まるばかり……

リヨンはまさかの着ぐるみキャラ! 中はどうなっているのか、気になりますよね。絵本が大好きで、穏やかで優しい性格。ほっこりします。

ルシオールはレーヴの整備士。引きこもり気質で、「夢の中に留まりたい」と願い、レーヴの解放にも消極的です。その理由は何なのか……謎を秘めた人物です。

エマはレーヴの一員となり、彼らと働きながらその人となりを知っていきます。プレイしながら徐々に芽生える「仲間」という意識。でもいつかは彼らをレーヴから解放してあげなくてはなりません。

彼らを解放してあげたい気持ちと、一緒にいたい気持ち、相反する思いに貴女もきっと悩むことでしょう。そのジレンマこそが、本作の最大の魅力です。なんでも叶うはずの魔法。夢のようなその力も、使い方次第で変わってしまう……。果たして魔法は彼と貴女にとって幸せなものになるのか。ぜひその行く末を見届けてください。

◆イケメンに癒され、夢の世界に浸りたい人に最適!

アドベンチャー部分については、思ったよりも簡単に狙ったルートに行けると感じました。キャラクターの信頼度はあまり意識しなくても大丈夫です。ルート分岐はとある点でほぼ確定するので「次はこのキャラクターと恋に落ちたい!」と思えばピンポイントで狙うことができます。選択肢も頻繁には出ませんし、選択を誤って好感度が下がることもありません。筆者は好感度が下がるとものすごく後悔するのでこれはありがたい! 3章以降は章の始まりにどのキャラのルートに入ったか分かり、取り返しのつかないところまで進めて後悔する心配もありません。

ただ、いまどきのアドベンチャーゲームのさだめではありますが、選択肢が少ないぶん主人公の思考を目で追うだけになってしまうので、そこは考えどころ。主人公に感情移入できないと少しつらいかも。また、簡単であるがゆえにガチめの攻略を求めている人や、苦労の末に結ばれることに快感を得る人には物足りなく感じてしまうかもしれません。やり直しがないということは一周が早いということでもあるので、それを良しとするか否かで評価は分かれそうです。

筆者は本作に対して、「夢の世界を存分に楽しむゲーム」であると捉えたので、難しさは求めなくてもよいと感じました。そのため、日常に疲れている人、イケメンに癒されたい人、非現実の世界に逃避したい人に超絶オススメしたいです。

非現実といえば、本作の舞台はやや昔のフランス。戦争の気配が漂う時期で、現代日本に暮らす私たちにとっては設定自体がまるで夢のようです。レトロモダンな雰囲気がお好きな方にはたまらないでしょう。また、「マドモアゼル」や「モナムール」といった、「声に出して言われたいフランス語」が聞ける点もおススメポイント。筆者は即物的な表現よりも上品な表現にグッとくるタイプなので、フランス語でワンクッションされた愛のささやきに大層悶えてしまいました。

◆夢の体験を損なわないシステム

ここからはシステム的な部分について。製品版は文字の見やすさが改善され、より没入しやすく調整されています。テキスト欄の主人公イラストもON/OFF設定が可能なのでお好みで調整するとよいでしょう。バックログを確認したり、バックログ上の任意の場所から再開したりも可能なので、うっかりスキップしたセリフを確認し直すこともできます。もちろん、クイックセーブ・クイックロードも完備していますが、このクイックセーブは電源を切ると消えるので、中断するときはちゃんとセーブしておくのも忘れずに!

基本的にはテキストを読み、選択肢を選んでキャラクターとの交流を深めていく流れですが、魔法の覚醒訓練のみ星を集めるミニゲームが発生します。難しいものではないのでご安心を。スティックでも操作できますが、Switchのタッチパネルを触ると成功しやすいです。Switchのタッチ機能もしっかりと活かしていますね!

全体的に淡い色彩でまとめられており、夢と現実の狭間を描いた世界により深く入り込めるように彩られています。前述したルート選択が序盤でほぼ確定する点もそうですが、これらはプレイヤーがより深く「夢」の世界に入り込める配慮といえるでしょう。徐々に明かされる謎を追いかけながら、意中の彼との距離を縮めていく。そのシナリオの面白さを存分に楽しむことができるシステムになっています。

くるくると回るマネージュ、同じ場所を回り続けるそれは、まるで囚われた彼らを象徴するかのよう。遊園地に囚われ、同じ毎日を繰り返す彼らがその円環から解き放たれた時、どんな結末が待っているのでしょうか。ぜひその目で確かめてみてください。

ちなみに、段階的に閉園することが報道されて話題になった「としまえん」のメリーゴーランド「カルーセルエルドラド」の設計士のヒューゴー・ハッセは、本作の登場人物・ヒューゴのモデルにもなっています。2月14日(金)からとしまえんとのコラボイベントも開催されるとのこと。こちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか。

(c)MAGES./LOVE&ART

『幻想マネージュ』声に出して聞きたいフランス語「マドモワゼル」「モナムール」が聞ける!【乙女ゲームレビュー】は、WHAT's IN? tokyoへ。

最終更新:2/12(水) 17:01
エムオンプレス

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