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「チベットではよくあること」死者の魂と巡礼する理由とは…『巡礼の約束』監督語る

2/12(水) 18:30配信

cinemacafe.net

日本初のチベット人監督による劇場公開作として注目された『草原の河』のソンタルジャ監督最新作『巡礼の約束』。この度、チベットにいるソンタルジャ監督よりメイキング写真とインタビューが到着した。

【画像】「子役の名演もこのロバにはかなわない」と監督はコメント



本作は「中国で最も美しい村」にも選ばれたチベット高原の秘境、ギャロン地方出身の人気歌手ヨンジョンジャが企画し自ら主演、チベット映画第一世代を代表するソンタルジャが映画に結実させた物語。ある理由から突然、聖地ラサへの巡礼の旅に出た妻ウォマと、その妻を心配して追ってくる夫ロルジェ、妻の前夫との息子で心を閉ざしている少年ノルウ、それぞれの想いを描く。


今回届いたのは、秘境として人気が高いギャロン地域での撮影風景をはじめ、映画に出演した本物の僧侶たちに囲まれて監督が撮影シーンをチェックしている写真、「ラサまで3キロ」地点を前にして主演のヨンジョンジャと監督が五体投地に使う手板を合わせている写真、チベットの美しい絶景を背景に、監督が演技を絶賛したノルウ役の少年と仔ロバが仲良く休憩する写真や、仔ロバを囲んだ集合写真など貴重なメイキング写真5点。


「チベットの人は晩年になると一生に一度行ってみたいという気持ちが強くなる。それほどラサへ行くということは重要なこと」と、聖地ラサについて語るソンタルジャ監督。「また、チベットの人にとって約束を守る、ということも非常に大事なことです。チベットの人々はこれまでも、口で伝える、という方法で約束を守っていきました。この映画の中でも、ノルウがロルジェに『ラサへ巡礼に連れて行くって言ったじゃないか』と言う場面がありますが、それは、口にしたからには守ってもらわないと困る、と言う意味があるのです。この映画では、そのような文化を背景に、愛や誠意といったチベットに限らず世界中で一番大事なことを描いています」という。


さらに、「死者の魂と巡礼をするのは、チベットではよくあることです」と監督。「ツァツァ(粘土で作った小さな仏像)や、死者の歯、遺髪などを持って一緒に巡礼をし、それをラサのお寺に納める風習があります。多くは亡くなった親のために子供が巡礼することが多いですね。この映画では、ウォマは前夫の、ロルジェはウォマの思いを背負って巡礼の旅をするわけです」。


物語前半では妻が巡礼をし、後半はそれを引き継ぐように夫と、その夫とは血の繋がらない息子、そして幼いロバが巡礼に加わっていく。「最初は妻が主人公、次に夫が主人公になる。主人公が変わるというのは、普通に考えて、映画の作劇としてはリスクがあります。でも、今回はそのように撮りたいと思いました。夫婦という一つの存在として捉えれば、それは可能ではないかと。後半のために前半があります。夫がどんな人間かを後半で見せ、そこでチベット文化の奥深さも見せることができます。チベット文化というと抽象的に聞こえるかもしれませんが、チベットで個人を描く時、その行動、その決断は必ずチベット文化に影響されていると思うのです」と監督は語る。


映画初出演とは思えない存在感を発揮するノルウ役の少年スィチョクジャについては、「実は明るくてわんぱくな子で、決して映画の中のような無口な子ではないんですよ。私が気に入ったのは、あの子の『目』です。実はキャスティングの際、1,000人ほどの小学生の写真をスタッフが撮ってきてくれたんですが、すべてを見ても気に入った子はいませんでした。そしてある日、自分で足を運んだ小学校の教室に彼がいたんです。一目で、この子がノルウだと思いました」と、大抜擢だったことを明かす。「私はよくヨンジョンジャさんにこんな冗談を言っていました。子供の方があなたよりうまい、ロバの方が子供よりうまいってね(笑)」。


『巡礼の約束』は岩波ホールほか全国にて順次公開中。

最終更新:2/12(水) 18:30
cinemacafe.net

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