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「歯を磨くと血」放置しないで…歯周病菌 大増殖の引き金に

2/12(水) 14:11配信

読売新聞(ヨミドクター)

大人の健康を考える「大人び」

 お口の健康について、予防歯科学が専門の大阪大歯学部教授、天野敦雄さんに聞きます。(聞き手・佐々木栄)

 40歳のA男さんは、「歯を磨くと血が出るようになった」として来院されました。プラーク(歯垢)を調べた結果、悪玉の歯周病菌を発見。早期の受診だったので、大ごとには至りませんでした。

 正しい歯磨き法を学び、歯のクリーニングにも年3回通い続けたところ、歯は抜けず、歯ぐきはキュッと引き締まり、息も爽やかに。よい状態を維持していました。

赤血球の「へミン鉄」が菌を活性化

 その後、A男さんは中国に転勤し、受診が途絶えました。2年後、久しぶりに電話がかかってきました。「歯を磨くとまた血が出るんです。大丈夫でしょうか?」

 これは大変、歯周病の始まりです。「すぐに歯医者さんに行ってください」と助言しました。

 数日後、帰国したA男さんが訪ねてこられました。案の定、歯周病はかなり進んだ状態でした。仕事のストレスが大きく、単身赴任のため生活も乱れがちとのこと。歯科から遠ざかった影響が如実に出ていました。

 歯周病の最大の原因は悪玉の歯周病菌ですが、悪玉菌がいても歯科での定期的なクリーニングで発症を防げます。ところが2年間のブランクがたたり、A男さんの歯ぐきは炎症を起こしていました。

 歯ぐきからの出血は軽視できません。赤血球に含まれる「へミン鉄」は、歯周病菌を活性化させてしまいます。さらに、この菌は血液中の「血漿(けっしょう)たんぱく質」が大好物。出血が引き金となって大増殖しかねません。

 歯磨きで血が出たら、放置せずに歯医者に行きましょう。ストレスや偏った食事、睡眠不足も歯ぐきの抵抗力を弱めるので、規則正しい生活を心がけてください。

天野敦雄(あまの あつお)

 大阪大学歯学部教授。高知市出身。1984年、大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学歯学部博士研究員、大阪大学歯学部付属病院講師などを経て、2000年、同大学教授。15年から今年3月まで歯学部長を務めた。専門は予防歯科学。市民向けの講演や執筆も多く、軽妙な語り口・文体が好評を得ている。

最終更新:2/12(水) 14:11
読売新聞(ヨミドクター)

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