ここから本文です

無責任な飼い主に飼育放棄されたブルドッグのやまと君 今はトリミングサロンの看板犬として幸せに

2/13(木) 13:40配信

デイリースポーツ

 大阪市東住吉区の住宅地にある犬のトリミングサロン『隠れ家やまちゃん』は普通の一軒家に見えますが、脇の通路を入って行くと別の扉があり、そこがサロンの入り口。オーナーの生賀裕子さんいわく「昭和長屋をリメイクした」そうで、“隠れ家”という表現がピッタリのお店です。

【写真】短頭犬独特のブサカワが魅力

 ただ、実は店舗の構造と名前は無関係。看板犬を務めるブルドッグのやまと君(8歳)が、生賀さんの家の向かいにあった開業前の長屋を“隠れ家”のようにしていたことから付けられた名前です。もちろん“やまちゃん”はやまと君の名前から取りました。

「お店をするつもりはなかったんです。みんなでDIYをするのが楽しくて、週末毎にやっていたんですけど、やまとが来てから構想がどんどん膨らんで。気が付いたら、サロンとペット同伴で使っていただけるレンタルスペースを始めることになっていました」(生賀さん)

 もともとトリマーとして働いていた生賀さんの“人生を変えた”やまと君との出会いは、ちょっと複雑なものでした。

 最初にやまと君のことを聞いたのは、中学の同級生Aさんから。飼い主に「ブルドッグをもらってほしい」と頼まれたAさんが引き取るも、1~2週間後に「子どもがさみしがっているから返してほしい」と言われ返却。1カ月後にまた「もらってほしい」と連絡があったため、Aさんは再度引き取って、今度は知り合いの男性に託しました。すると、また元の飼い主が…。

「そんな無責任な人には返せないと、今度は断ったらしいんです。男性は会社の寮でやまとを飼って、仕事先にも連れて行くほどかわいがってくれていました。でも、2年半くらいたったとき、寮を立ち退かなければならなくなって、犬関係の仕事をしていた私に、誰かもらってくれないかと相談が来たんです」(生賀さん)

 Aさんから久々に連絡があったのは、生賀さんが愛犬を亡くしてちょうど1年の命日に当たる日でした。もしかすると、そのときから運命の歯車は回り始めていたのかもしれません。ただ、生賀家にはすでに犬が3匹いて、しかもブルドッグは飼うのが難しいと聞いていたので、生賀さんは飼育経験がある人に頼めればと思っていました。

 すると、広い庭でブルドックを飼っているというご夫婦が手を挙げてくれました。少し遠方ではありましたが、生賀さんとAさんは大喜び!でも、迎えに来てくれた夫妻の様子を見て、不安を覚えたと言います。

「やまとが少し臭かったからか、車に乗せることなく『連れて来てくれるんですよね?』と。ご主人はニコリともしないし、やまとを飼うことに反対しているのかなと、少し気になりました」(生賀さん)

 数日後、Aさん夫妻と一緒にやまと君を連れて行くと、広い庭にポツンと置かれたかなり古い木の小屋の中に、覇気のない表情で座っているブルドックが見えました。

「ここにやまとを置いて行って大丈夫?と不安がよぎりましたが、男性の寮の立ち退きまで日にちがなく、私もAさん夫婦も後ろ髪を引かれる思いで帰って来たんです」(生賀さん)

 残念ながら、3人の悪い予感は的中しました。後日、生賀さんが男性から預かったフードを届けに行くと、やまと君は狭い軒下につながれていました。雨に濡れながら…。

「前の日の夜から大雨が降っていて、その日もまだ降っていました。すぐに奥さんに電話したんですけど、夕方、仕事から帰ったら家に入れますと言うばっかりで…」(生賀さん)

 生賀さんはAさんと一緒に出直し、やまと君の譲渡を白紙に戻して自宅に連れて帰りました。ただ、この時点ではまだ「生賀やまと」にはなっていません。新しい里親さんを探すつもりでお世話していました。

 最初の頃、やまと君は等間隔でずっと吠えていたそうです。それでいて、生賀さんには従順。そんなとき、友人に言われました。「等間隔に鳴くのは心の病気。保護犬によく見られるのは、最初はすごく従順で、そのあと甘えん坊になって、怒りっぽくなって、ようやく本当の意味で“うちの子”になるのよ」と。

 やまと君はその通りに変化していきました。生賀さんの姿が見えないと鳴くほど甘えん坊になり、その後、リードを持つと唸って飛び掛かるように。「怒っても自分を見捨てないか、私を試してる?」──生賀さんはそう考えて、唸られたときこそ抱き締めたり、ベッドに一緒に入ったりして愛情を注ぎました。「信頼関係が築けたかな」と感じられるようになったのは、3年くらいたってから。その間に、いつしか「生賀やまと」になっていたのです。

「正直、短頭種は好きではなかったんですけど、やまとのおかげで好きになりました。お店にはいろんな犬が来ますが、どんな犬でも大丈夫だし、噛まれても怒らない。立派に看板犬をしてくれています。“うちの子”になってくれて幸せです」(生賀さん)

最終更新:2/14(金) 20:29
デイリースポーツ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ