ここから本文です

左手の一時的なむくみとしびれ。より日本人がかかりやすい病気が隠れているのはどちら?

2/13(木) 8:00配信

テレ東プラス

今回のWEBオリジナル企画「主治医の小部屋」では、同番組のレギュラー・上山博康医師に、時々起こる片側の手のしびれやむくみは、病気の兆候?という視聴者の相談に答えていただきました。日常の飲食後に起きた症状に注目してみましょう!

脳の疾患とむくみは無関係

Q:40代女性です。残業で疲れがたまった日の翌朝に、ときどき左手だけむくんだような痺れた感じになることがあります。症状は昼になるにつれて治ってくるのですが、父や父方の兄弟に脳梗塞やくも膜下出血になった人が多く、遺伝的なものなのか少し気になっています。この症状からどんな病気が考えられるでしょうか?

── 先生、一方の手のむくみや痺れといった症状は脳の疾患に直接関係したりするのでしょうか。

「まず、脳の疾患とむくみは全く関係ありません。多くの場合、むくみは全身性で、片側の腕だけがむくむのだとすると、リンパ管炎や静脈炎など血液の排出が悪くなる病気が考えられます。典型的な例は乳がんの手術後。これは乳房がリンパ腺の集まりのような構造だからなのですが、特に腋窩(わきの下)にあるリンパ節を切除することで、老廃物を運ぶリンパ液の流れが滞りむくむんですね。

ただ、多少リンパの流れが悪いくらいなら寝ると治ることが多く、日中起きていて夕方になるにつれ、むくんでくるのが普通です。相談者の方のように朝むくんでいたのが昼頃には解消してくるなら、痺れているのと合わさってむくんでいる印象があったということもあるかもしれません。

それを踏まえて、痺れから考えられるのは神経根の圧迫です。胸郭出口症候群や脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などにより、神経が挟まったり圧迫されたりすることで片側にだけ症状が現れている可能性があります。これらの疾患は首の痛みを専門とする整形外科で診てもらうとすぐにわかると思いますよ」。

一時的な痺れではなく軽い麻痺なら脳梗塞の前触れ

── むくみの症状のほうがより強く出ている場合はどうでしょうか。

「そうなると甲状腺機能障害や慢性甲状腺炎(橋本病)を考えなければなりません。“橋本病“と呼ばれるくらい甲状腺の病気は日本人(特に女性)に多いんですね。この場合、むくみは全身に現れますが、例えば、前述したような脊椎などの疾患で片側が弱くなっていれば、その部分にむくみを強く感じることもあります。病気を複合的に考えなければならないわけです。

甲状腺機能は血液検査で調べることができますから、むくみの症状が強いようなら受診して検査を受けてみてください」。

── レントゲン撮影や血液検査で原因はある程度わかりそうですね。

「実はもう一つ、怖い病気が隠れている可能性があります。冠動脈に異常がないのに狭心症発作を起こす異型狭心症(就寝中の明け方など労作に関係なく決まった時間やきっかけで起こる狭心症)もそうなのですが、動脈が痙攣(けいれん)を起こして血流が悪くなる病気があります。その一つ、レイノー病は片方の手だけ血管が攣縮(れんしゅく)して血流が滞り、皮膚が真っ青(蒼白)に変色します。振動工具を長時間使うことで発症する白蝋病も同じような機序で起こります。

これらの自律神経系の疾患は原因がわからないことが多いので、専門の医師(内科)にしっかり相談したほうがいいでしょう」。

── どれも心配されるような遺伝的要素はなさそうですね。

「脳血管障害でむくみは出ませんが、痺れが軽い麻痺だとすると、TIA(一過性脳虚血発作)といって一時的に症状が現れ、多くは数分から數十分で元に戻る脳梗塞の前触れ発作の可能性があります。今はMRI検査で血管の細さなどがすぐにわかりますので、遺伝を心配されるならば脳ドックを受けることをおすすめします。今のところまずその心配はないと思いますよ」。

── 上山先生、ありがとうございました!

【上山博康医師 プロフィール】
社会医療法人禎心会脳疾患研究所所長。1973年北海道大学医学部卒業。秋田県立脳血管研究センター、北大医学部脳神経外科講師などを経て、1992年から旭川赤十字病院脳神経外科部長。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医。
2012年4月から現職。著書に「すべてをかけて命を救う」(青春出版社)、「闘う脳外科医」(小学館)など。

※この記事は上山博康医師による見解に基づいて作成したものです。
※「主治医が見つかる診療所」より

テレ東プラス

最終更新:2/13(木) 8:00
テレ東プラス

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事