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漫画『ちはやふる』で描かれる、競技かるたの「変えたい現実」と末次先生の想い

2/14(金) 17:10配信

マグミクス

「仕事を作りたいんや」若宮詩暢の切実な想い

 一方『ちはやふる』では、競技かるたの認知度の低さや、競技人口が増えたことによる大会運営の負荷といった課題についても描かれています。

 千早の目標であり、現クイーンの女子高生・若宮詩暢(しのぶ)。

 彼女の夢は、「この札たちと 離れずに 生きていく」ことです。かるた以外のことは苦手で、クイーン戦で着たい着物を買うために、お金持ちである家には頼らずにアルバイトを始めますが、1日でクビに。

 かるただけで生きていきたいのに、その環境がないことを祖母に吐露したところ、「世界で1人目のかるたのプロになりなさい」と言われます。そこから詩暢ちゃんは、メディアへの露出、YouTubeチャンネルの開設と、あらゆる手段に出ます。

 そんな折、競技かるたを知らないクラスメートに、ネットの掲示板に悪口が書かれていることを告げられ、「かるたがやりたいんやのうて それ利用して有名になりたかったんやねぇ」と言われる詩暢ちゃん。

 詩暢ちゃんは、バイトの情報誌には書道やピアノの先生の募集はあるのに、給料のある仕事として「かるたの先生」の募集がないこと、またそれを変えたいこと、そして「うちは有名になりたいんやない 仕事を作りたいんや」(41巻)と伝えるのです。

 詩暢ちゃんの想いが漫画を飛び越え、現実の競技かるたが抱える課題とリンクした瞬間です。

 29巻では、競技かるたの会場を通りかかった少年たちの「かるたなんかやったってなんにもなんないよなあ…」という心ない発言に対し、末次先生の思いも込められているであろうセリフが語られます。

「少年たちよ この空気を感じても同じこと言えるの?」

 連載開始まで、なかなか一般的には知られていなかった競技かるたを現実社会に浸透させてきた『ちはやふる』。ここ10年で競技人口は3倍に拡大し、100万人に達するといわれています。

 マンガを読み、魅了され、増えていった競技人口。「ずっとかるたを続け」られる環境を。末次先生の想いは、現実の競技かるたをも変えていきます。

別冊なかむらりょうこ

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最終更新:2/14(金) 18:11
マグミクス

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