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110mH日本記録保持者・高山峻野「自分に期待しない」強さ

2/17(月) 13:40配信

月刊陸上競技

 2020年東京五輪に向けて注目を集めるのが、男子110mハードル日本記録保持者の高山峻野(ゼンリン)。その強さの秘密と素顔を紹介する。

実現可能な目標を達成していく

 東京五輪前年となった2019年。日本陸上界の歴史は大きく動いた。五輪実施種目での日本記録(タイ記録含む)が、実に20個も誕生した。そのうち、一人で4つを占めているのが、男子110mハードルの高山峻野(ゼンリン)だ。

 6月の布勢スプリントで自己新となる13秒36(+1.9)をマーク。18年に金井大旺(ミズノ)が樹立した日本記録に並ぶと、続く日本選手権の決勝では雨の中13秒36(-0.6)で自身2度目の優勝を果たし、ドーハ世界選手権代表に内定した。

 約1ヵ月後の実業団学生対抗では13秒30(+1.9)。“3度目の正直”で単独の日本記録保持者になった。勢いは止まるどころかさらに加速。そこから1ヵ月後のAthlete Night Games in Fukuiでは、13秒25(+1.1)という驚愕の記録をたたき出した。

 13秒25は、アジア歴代4位タイ、五輪・世界選手権の準決勝で走ればほぼ間違いなく決勝へと進むことができる快記録。長く「日本のスプリントハードルは世界に通用しない」と言われてきたが、可能性が大きく広がった歴史的な瞬間だった。

「これ以上のタイムなんて無理です」
「世界と戦うのは難しい」
「ここから調子が落ちていく」

 高山は記録を出すたびにこれらの言葉を発してきた。理由は「自分に期待していない」から。発言だけが一人歩きすることもしばしばあるが、まったく気にする様子はなく「周囲の意見で自分を変えたくはない」と言う。

「陸上の練習は厳しいから好きじゃない」と公言するが、シーズン中は誰もが認めるほどストイックに過ごす。練習は細部にこだわって取り組み、食生活も一切の妥協をしない。

「この練習をすれば速くなれると信じて徹底してやっています。結果の出なかった大学2年くらいまでは、いろいろなことを試していましたが、『これをやる』と決めてからは迷わなくなりました。迷ったまま取り組んでいるのはもったいないし、いざ試合になった時に自信を持てません。僕は試合で『絶対に失敗しない』と確信を持って臨めるようにしたいと思っています」

「自分に期待しない」。そう思うようになったきっかけは高校時代。広島工大高2年でインターハイ7位入賞した高山は、「有頂天になって来年は勝たないといけない」と臨んだ最後のインターハイは、予選で転倒して途中棄権に終わった。

「それ以来、自分に期待しなくなりました。今思えば、インターハイで勝っても進学で有利になるくらい。絶対に勝たないといけない試合ではないんです。特に高校生年代では、目先の結果だけでなく、もっと長い目で目標を立てていってほしい」

 期待せず、しっかり現状を見据え、やるべきことを整理する。自分に期待しなければ緊張することもない。実現可能な目標を立てて、それをクリアしていく。試合では練習の成果をどれほど発揮できるか。その1点に集中するだけだという。

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最終更新:2/17(月) 17:17
月刊陸上競技

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