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[寄稿]朝鮮半島の平和と北のジレンマ

2/17(月) 12:19配信

ハンギョレ新聞

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はあたかもブラックホールのように北東アジアの問題を飲み込んでしまい、時間を止めてしまったようだ。そうでなくても動力が失われた北朝鮮核問題や朝鮮半島の平和体制構築は、すでに国際社会の関心の外に追いやられたようだ。現時点で六者会合の「9・19共同声明」や「2・13合意」を振り返ってみると、驚異的な印象さえ受ける。北東アジアの歴史上初めて北東アジア各国が向かい合って作り出した朝鮮半島の平和体制構築の下絵であるからだ。北東アジア各国はいつ再び集まり、そのような青写真を描き出すことができるだろうか。

 北東アジア各国はもはや再び集まることは難しいと思われる。しかし朝鮮半島問題の当事者は、両者の出会いからずっと朝鮮半島の平和体制を力説して宣言してきた。シンガポール首脳会談で朝米は朝鮮半島の恒久的で安定した平和体制の構築を論議した。南北はさらに首脳会談のたびに朝鮮半島の平和体制構築を宣言した。中国は中朝、中韓の二国間関係で何より朝鮮半島の平和を優先順位に置いた。

 振り返ってみると、朝鮮半島の平和関連の議論は朝鮮戦争が終わった翌年のジュネーブ会議から今日に至るまで止まったことがない。しかしながら、朝鮮半島の平和体制という70年の課題は全て強大国の戦略枠組みの中でぐるぐる回っていたと言っても過言ではないだろう。

 すでに朝鮮半島の平和体制構築は朝鮮半島非核化とコインの裏表となり、北朝鮮は「先に平和体制、後で非核化」、米国は「先に非核化、後で平和体制」を執拗に主張して駆け引きをしている。単純な前後関係なら中国が出した非核化と平和体制を同時に推進するという「双軌並行」は解決策となるのに十分だろう。北朝鮮が出した「段階別同時的措置」も確かに解決策になるはずだ。しかし、二回の朝米首脳会談の結果は、米国が制裁や圧迫を通じた一括妥結のみ関心があり、朝鮮半島の平和体制構築には関心も準備もあまりないことを示した。

 それならば北朝鮮は平和体制構築の準備が整っているのだろうか。これまで北朝鮮は「平和協定」だけを締結すれば万事解決と考えてきた。「平和協定が締結されれば、朝米、南北関係、そしてすべての当事者の安保上の憂慮が完全に解決され、したがって核問題も自然に解決することができる」というのが北朝鮮の主張だ。平和体制とコインの裏表を成した北朝鮮核問題を無視して「平和協定」などを云々するのは、やはり平和体制構築とはかけ離れたことだと言える。

 万が一に米国が北朝鮮核問題を脇に置いて北朝鮮と「平和協定」を締結し、国交正常化を断行すると仮定した場合、北朝鮮は受け入れる準備ができているのだろうか。そこに韓国が南北交流と南北経済協力に途方もない投資をするという場合、北朝鮮はやはり受け入れる準備ができているのだろうか。北朝鮮としては対北制裁よりさらに恐ろしい体制への脅威を感じることになる得るのではないだろうか。

 過去の冷戦時代、ソ連をはじめとする社会主義圏に対する米国の戦略は、ケナンの「封鎖戦略」とダレスの「平和的移行」戦略だった。社会主義体制に対する脅威は後者がはるかに強かった。今も北朝鮮はこれを「『協調』と『交流』などの看板の下に進行される資本主義思想・文化的浸透策動」と言い、それとの戦いを「砲声なき戦争」と言う。

 結局、朝鮮半島の平和体制構築は逆説的に北朝鮮にもジレンマを抱かせるようになる。北朝鮮が米国と国交正常化して国際社会に融合されようになるとすれば、経済と金融市場の透明化・公開化のようなあらゆる分野のシステムの途方もない変化が並行されなければならないだろう。南北関係でも韓国が壮大に描いた朝鮮半島の経済地図は、北朝鮮にはバラ色の展望よりも不安な未来になり得る。2018年に朝鮮半島で起きた驚天動地の変化が昨年一年は停滞モードに転じ、北朝鮮が扉を閉ざしてしまった背景には、このようなジレンマの要素もなくはないだろう。北朝鮮がこのジレンマを乗り越えられなければ、大きな変化を期待するのは難しい。

 結局、朝鮮半島の平和体制を構築しようとするならば、米国と北朝鮮どちらも準備をしなければならないだろう。米国は北朝鮮問題を米国のインド太平洋戦略に連動させるべきではなく、北朝鮮は国際社会に融合される準備を着実にしなければならないだろう。

金景一北京大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:2/17(月) 12:19
ハンギョレ新聞

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