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新型コロナ感染拡大でも、日本が「中国人」を受け入れ続ける理由

2/18(火) 8:15配信

ITmedia ビジネスオンライン

 いよいよ日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に始まった。

 というよりも、2月4日にタイ保健省が、1月下旬に日本を旅行したタイ人夫婦が感染したと報告をしたことからも、単に我々が認識していなかっただけで、ずいぶん前から国内では感染拡大が始まっていた可能性が高い。

【画像】武漢の病院で何が起きているのか? 防護服を着た医療従事者

 つまり、3700人を「軟禁」したダイヤモンド・プリンセスの前で、マスコミが「速報です! また新たな感染者が確認されました」なんてお祭り騒ぎをしていたときには既に、日本のいたるところで「スーパー・スプレッダー」(一度に多人数を感染させる患者)が徘徊(はいかい)し、満員電車であなたの隣でゲホゲホやっていたかもしれないのだ。

 なんて話を聞くと、「すべては安倍政権のずさんな危機管理が悪い! 責任をとって総辞職せよ!」といきり立つ方も多いかもしれない。

 ご存じのように、454人(17日時点)という「史上最悪の船内感染」となったダイヤモンド・プリンセスの対応をアメリカなどが批判している。ニューヨーク・タイムズは「公衆の衛生に関わる危機について、『こうしてはいけない』と教科書に載る見本だ」など笑いものにしているのだ。

 中世からペストなどの「伝染病」と長く戦い、クルーズ文化の発祥でもある欧米では、「汚染された船内」に乗客を閉じ込めるのは二次、三次感染を引き起こす「悪手」という位置付けで、隔離するにしても、ちゃんと生活ができて、当局側もしっかりと監視下における施設を用意するのが常だ。2月12日に総務省が、下船した乗客の滞在先として、消防大学校、自治大学校や、営業を終了している「かんぽの宿」を検討している、という一部報道が出たが、まともな先進国ならば、まずはそういう方向で動くのが定石なのだ。

前近代的な手法を選んだ背景

 では、なにかとつけて世界一優秀だと自画自賛する、日本のキャリア官僚たちが、なぜそんな前近代的な手法を選んだのかというと、日本のお家芸である「前例踏襲主義」が影響している。

 実は今回のような検疫スタイルは、1879年7月に施行された「海港虎列剌病伝染予防規則」がベースなっている。つまり、まだ空からの入国経路がなく、「鎖国」的な発想を引きずっていた明治時代の制度がいまだに引きずられているのだ。

 戸籍制度、夫婦同姓、軍隊のような”しごき”や”いじめ”がまん延する刑務所、そして悪名高い人質司法など例を挙げればキリがないが、日本は明治にできたルールを後生大事に守る傾向がある。「効率悪いし、現代の人権感覚とマッチしないから見直そうよ」という意見が出ても、「キサマ! 日本の伝統をバカにするのか!」とたかだか120年程度のルールをありがたがって盲従してきた。

 そんな”明治ルールの神格化”が今回の「ダイヤモンド・プリンセスの悲劇」も招いた側面があるのだ。だが、クルーズ船対応よりもはるかにハラワタが煮えくり返っている問題がある、という人も多いだろう。そう、「中国人対応」だ。

 コロナウィルスの脅威が世界に伝えられる中で、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、フィリピンなどが中国全土からの外国人入国拒否という対応をとったのと対照的に、日本は湖北省、浙江省に滞在歴のある外国人などを原則入国拒否というソフト路線を続けている。

 結果、「水際対策として生ぬるい」「中国への忖度か」といった批判の嵐にさらされており、「安倍応援団」として名高い保守系文化人の間からもブーイングが出ているのだ。

 そんな”ファン離れ”も関係しているのか、支持率も落ちている。ANNが15~16日に実施した最新の世論調査でも、支持は先月から5.6%下落して39.8%となって、「不支持」(42.2%)が上回った。また、コロナウイルス対策についても「評価しない」(50%)が「評価する」(46%)をやや上回っているのだ。

 このような結果はちょっと考えれば当然かもしれない。

 安倍政権の支持者には、中国や韓国という「反日国家」への怒りが生きる原動力になっている、という愛国心溢れる方も多い。そのような人たちからすれば、このような「媚中(びちゅう)ぶり」は「裏切り」以外の何物でもない。事実、いつもは日本につらくあたる中国外務省の報道官が、日本政府の「全面的な協力」に感謝を表明するなど、安倍政権の対応に大満足なのだ。

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最終更新:2/24(月) 10:23
ITmedia ビジネスオンライン

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