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がん専門医ががんになって気づいたこと~中川恵一先生のカルペディエム~

2/18(火) 11:40配信

Medical Note

東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授(放射線科)は、メディアなどで、がんについてわかりやすく発信している、いわば“伝道師”だ。がん教育にも熱心で、日本対がん協会のアニメ教材も監修している。そんな中川先生が、2018年12月に膀胱(ぼうこう)がんになった。当初は「まさか、自分ががん……」と青天の霹靂(へきれき)だったという。病状や治療、気持ちの移り変わりなどを伺った。【日本対がん協会・中村智志/メディカルノートNews & Journal】

◇超音波エコーで自ら発見

がんは自分で見つけました。2018年12月9日、先輩の病院で当直の手伝いをしていたとき、空いている時間に超音波エコーで自分の肝臓を診たのです。

というのも、2年ほど前から、肝硬変などの原因になりかねない脂肪肝があったのです。この日はふと気になって、膀胱も映してみました。すると、左の(腎臓から尿を送る)尿管と膀胱のつなぎ目である尿管口の近くに、白い影が見えました。

実は2017年6月に、超音波エコーで膀胱を見た際に、内壁に小さな影を見つけていました。しかし、忙しくてそのままにしていました。1年半がたち、それが大きくなったのです。膀胱を映してみたのは、心のどこかで気になっていたからかもしれません。

見つけた瞬間、「がんに違いない」と思いました。東大病院の泌尿器科の後輩にメールで画像を送ったところ、「膀胱腫瘍を否定できない所見」という返信が届きました。精密検査の結果、大きさ1.5cmのがんと判明しました。がんは筋肉の層までは浸潤しておらず、早期でした。血尿もなく、自覚症状はありませんでした。

◇たった40分の手術

――生まれて初めての入院。12月28日、検査をしてくれた後輩の医師の手術を受けた。内視鏡による切除だ。尿道から直径1cm弱の鉄の棒を膀胱まで差し込み、電気メスでがん細胞を切除した。

手術は朝から始まりました。たった40分です。痛みはなく、下半身麻酔なので、モニターを見ながら医師と話していました。しかし、麻酔が切れると下腹部に猛烈な痛みが襲ってきました。

――手術でがん細胞は完全に取りきれた。ステージ0の超早期だ。再発予防のため、手術の直後に膀胱内に抗がん剤を注入した。ただ、がん細胞の悪性度は3段階の真ん中の「2」。2の中でもハイグレードだった。

「1ならいいなあ」と思っていたので、かなりショックでした。膀胱がんは再発する可能性が高く、ハイグレードだと、1年以内の再発率が約24%、5年以内では約46%に上ります。手術後は3カ月に1度は内視鏡を使った検査を受けなければならず、心の中に重い錘(おもり)があるような感じでした。もし再発すると、同じ手術を受けることになります。

がん治療は、QOL(生活の質)の低下と引き換えに、将来の時間を手にするもの。ただ、未来は不透明です。

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最終更新:2/18(火) 11:40
Medical Note

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