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東京スカイツリーをデザイン監修した彫刻家、澄川喜一の大規模個展が開幕

2/18(火) 7:09配信

ぴあ

澄川喜一の作家活動60年を総括する大規模個展『抽象彫刻のパイオニア 澄川喜一 そりとむくり』が、横浜美術館にて5月24日(日)まで開催されている。

「反り(そり)」と「起り(むくり)」とは、見る場所によって微妙に反ったり、膨らんだりする、日本の伝統的な造形に基づく独特の曲線のこと。そんな「そりとむくり」をテーマに、彫刻作品をはじめ、東京スカイツリーや全国各地の公共造形物などのデザインを手がけているのが澄川喜一だ。

同展は、そんな澄川喜一の60年以上におよぶ創作活動の全貌を、最新作を含む約100点の作品・資料によって明らかにするものだ。

展覧会は、「はじまりとしての錦帯橋」をプロローグとして、「いしずえ 具象をきわめる」「深まり 素材と向き合う」「ひろがり 公共空間を活かす」「匠 そりとむくり」と題した全4章で構成。

具象彫刻から出発した澄川が、木や新素材を用いて抽象に取り組んだ「MASK」シリーズを経て、木の自然な形を生かした「そりのあるかたち」シリーズへと変遷していく様をたどることができる。

1931年に島根県で生まれた澄川は、山口県立岩国工業学校機械科に進学。岩国で過ごした青春期に魅了されたのが、錦川にかかる歴史的名橋、錦帯橋(きんたいきょう)だった。しかし、1950年に同地を直撃した台風により橋が流出。倒壊を目撃した際の衝撃が、澄川の造形活動の原点になったという。プロローグでは、写真パネルや図面、模型などから、錦帯橋の構造の匠さ、造形美が紹介される。

岩国工業学校卒業後、東京藝術大学彫刻科に進学した澄川は、近代彫刻の大家である平櫛田中、その後、戦後の具象彫刻を代表する作家の菊池一雄のもとで、塑像による具象彫刻を学んだ。第1章「いしずえ 具象をきわめる」では、新制作展で新作家賞を受賞した作品など、初期の具象彫刻を展示。さらに、藝大卒業後、アフリカの仮面や日本の甲冑、神楽面を発想源にした抽象彫刻「MASK」シリーズも紹介する。

第2章「深まり 素材と向き合う」では、石やステンレスなどの金属、さまざまな木材など、新しい素材に向き合って多様な主題を展開させた時代の作品を見ていく。

第3章「ひろがり 公共空間を活かす」では、120点を超える公共造形物を模型やパネル写真などで紹介。東京スカイツリーや東京湾アクアライン川崎人工島「風の音」、東京駅八重洲口「グランルーフ」など、都市の巨大建造物に関わる多彩な仕事が紹介される。

そして、最終章となる第4章「匠 そりとむくり」では、1970年代後半以来、澄川が40余年にわたり追求し続けてきた「そりのあるかたち」をテーマに作られた彫刻が一堂に集結。2018年の最新作も含め、今なお進化し続ける多彩な作品を展望することができる。

開幕に先駆けて行われた内覧会には作家本人が登壇。屋外彫刻作品も多くある澄川だが、「こうした(屋内の)展覧会でないと、木の面白さ、美しさというのは味わえない」と語る。

「日本には木の種類が実にたくさんある。そして、それぞれに素性を持っているんです。素直なものもあれば、ひねくれたものもある。これは作ってみなければわからない。私はそうした木の良さや面白さに、なんとかして助けてもらおうと思って作品を作ってきました。日本は木の国。木の美しさを見てほしい」(澄川)。

個々に異なる木の材質と向き合い、木との対話を通して、素材の本質を最大限に生かした形を彫りだしてきた澄川。空間に独特のリズムを与える研ぎ澄まされた造形と素材の持つ美しさを、自分の目で見て感じてほしい。

【開催情報】
『抽象彫刻のパイオニア 澄川喜一 そりとむくり』5月24日(日)まで横浜美術館にて開催

最終更新:2/18(火) 7:09
ぴあ

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