世界保健機関(WHO)が発表したデータによると、2020年2月17日の時点で、新型コロナウイルス「COVID-19」の感染者数は7万1429人に達し、死亡者数は1700人を超えた。
【画像】WHOが公開している「COVID-19」のレポート(2020年2月17日版)のスクリーンショット(クリックで拡大)
感染拡大に関するデータは、毎日リアルタイムで更新されており、依然として非常に厳しい状況が続いている。終息のメドは全く立っていない。ウイルスの封じ込めは、さまざまな要素によって決まる。例えば、十分な数のマスクを生産するといったシンプルかつ基本的な手法も、一つの要素として挙げられる。
”品薄”続くマスク
COVID-19コロナウイルス(現在の正式名称は「2019-nCoV」)感染症を防止、抑制するための取り組みを進める中、個人用の保護具に対する需要が急増している。このため、マスクの販売価格が急激に上昇し、購入する余裕のある人々の間でも、既にかなりの品薄状態になっている。
こうしたマスク不足に対応すべく、海外の一部の団体が、日本や米国、ミャンマーなどのさまざまな国からマスクを調達し、中国に送っているという。中国国内のマスクメーカーは、春節休暇中の生産を停止するとしていたが、その計画を中止した。江蘇省蘇州市では、倒産のために生産を中止していたあるマスクメーカーが、570日ぶりに再稼働したという。
このようにさまざまな措置が講じられているが、防護具の供給は非常に切迫した状況にある。WHOは、「マスクの受注残は4~6カ月に達し、今にも供給が枯渇しようとしている」とする警告を発表した。こうした状況を受け、中国のさまざまな技術メーカーが、これまで携わったことがないマスクの生産に着手している。
産業/商業登記の変更調査を手掛けるTianyan Inspectionによると、2020年1月1日~2月7日の期間中に、約3000社の中国メーカー(うち700社が技術メーカー)が、自社の製造ラインにマスクや防護服、消毒液、体温計、医療機器などを追加したという。
中国工業情報化部(MIIT:Ministry of Industry and Information Technology)の統計によると、中国のマスク生産能力は、1日当たり2000万枚以上だという。中国政府は2020年2月5日に、「中国全土のマスク生産量は、1日当たり1480万枚に達した。中国政府は、今回のコロナウイルス感染症の収束後に、余剰マスクを回収して備蓄する予定だ」と繰り返し述べた。
武漢市の人口は900万人で、1日当たりに消費されるマスク数は、2000万枚を軽く超えるという。
中国海関総署(GACC:General Administration of Customs China)のデータによると、中国は2020年1月24~30日の6日間で、5600万枚のマスクを輸入したという。
つまり中国は、一つの都市の2日分のマスク供給量を、6日間の輸入でまかなったということになる。中国の総人口は14億人であることから、これだけの供給量では、需要への対応が非常に難しいということが分かる。
さらに、世界中で保護具の不足問題が発生していることから、マスクをはじめとするさまざまな保護具の需要が急増している。現在の消費量は、通常時の100倍以上に増大、価格も20倍を上回るまでに高騰している。
マスク生産に踏み切る中国テック企業
FoxconnやBYD、マスク生産事業に参入
約700社の技術メーカーのうち、どのメーカーが、産業/商業登録を変更してマスクの生産を開始したのだろうか。マスク生産を開始した技術メーカーとして、まずFoxconnとBYDについて見ていきたい。
Foxconnは、「地方政府の防止対策ガイドラインに迅速に対応するためには、マスクが必要だ」と述べる。
同社は、「2020年2月末までには、1日当たり200万枚のマスクを生産できるようになる。生産したマスクについては、当社の約100万人の従業員用として備蓄する予定だ」と述べている。
しかし将来的には、マスクの輸出も検討しているという。
一方、中国の大手自動車メーカーBYDは、危機的状況に対応すべく、保護具の開発と製造に着手し、マスクや消毒液の生産にも対応している。
同社は2020年2月17日ごろに、マスクや消毒液の出荷を開始する予定だという。感染拡大が収束するまで、1日当たり500万枚のマスクを生産できる見込みのようだ。
OPPOとVivoは、マスク製造に向け従業員を調整中
中国の大手スマートフォンメーカーであるOPPOとVivoは、マスク製造に向けて従業員の調整をしているという。OPPOは、マスク製造の関連企業に、技術者と労働者を派遣したと述べた。
Sinopec:材料はあるが製造機がない
現地メディアの報道によると、中国最大の国営石油会社であるSinopec(China Petroleum and Chemical Corporation:中国石油化工集団有限公司)は、同社のメルトブロー不織布を使用することが可能なマスク製造機を、急いで探しているところだという。
同社の関係者によると、Sinopecは2020年2月中に生産体制を強化し、約10万トンの原材料を生産する計画だという。同社は、マスクや注射器などのポリプロピレン化学製品に必要な原材料の生産計画を調整している。
Changying Precision:まず1000万枚のマスクを用意
携帯電話機の生産を手掛けるChangying Precisionは2020年2月9日、「当社のオートメーション設備を、政府に割り当てられた緊急課題の実施、すなわち耳掛け式フラットマスクの生産に充てる」と述べた。試用生産が成功すれば、マスク1000万枚分の材料を使って最初の生産を行うという。さらに、2月末までに1日当たりの生産能力を100万枚に高める計画だとしている。
Changying Precisionは、1日に500万枚を生産できる別の施設も準備中だという。
SAIC-GM-Wuling:1日当たり170万枚のマスクを生産
SAIC-GM-Wuling Automobileは2020年2月6日に中国のメッセージアプリ「WeChat」で、「現在の生産ラインをマスク生産に転換する」と発表した。
SAIC-GM-Wuling Automobileは、General MotorsとSAIC Motor、SAIC-GM-Wuling Automobileの合弁会社で、「Baojun」ブランドの乗用車の製造・販売を手掛けている。
Guangxi Construction Engineering Groupが改造したダストフリーの工場を2020年2月中に使用できる見通しだという。高品質のN95マスク生産向けを4ライン、一般医療用保護マスク生産向けを10ライン、計14のマスク生産ラインを設置する。1日当たりの生産量は170万枚以上の見込みで、広西チワン族自治区の医療品不足の緩和に向ける。
GAC Group:マスク生産ラインの構築についてリサーチ
GAC Groupは2020年2月8日、マスク生産ライン装置を製造する計画について検討していると発表した。同社は広東省広州に本社を置く中国の自動車メーカーで、Guangzhou Automobile Industry Groupの子会社である。
GAC Groupの作業は、GAC Groupの部品事業本部に引き渡される。同社は、「この計画によって、当社の主要事業である自動車製造に影響が及ぶことはない」と述べている。
リチウム電池メーカーのYinghe Technology、マスク生産ラインを開発
Yinghe Technologyは、医療用マスクを製造する全自動統合マシンを開発・製造したと発表した。同社は、KN95マスク(M95)の自動生産ラインを共同開発するためにZhende Medicalと協定を結んだという。Yinghe Technologyは、できるだけ早く深セン市政府に100セットの設備を供給することに合意している。
深センのあるスマートフォンメーカーは先日、マスク製造工場の監督者募集の雇用案内を掲載した。
上記に挙げた他にも、多数のエレクトロニクス系テック企業(もちろん、マスク製造に携わったことはない)が、「マスク製造に詳しい人材が必要だ」と表明している。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
EE Times Japan
最終更新:2/19(水) 12:05
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