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元東急電鉄の電車 なぜ各地でよく見るのか? ポイントは長さ・軽さ・車体の素材…

2/20(木) 10:33配信

乗りものニュース

新車導入が難しい中小私鉄 より安い中古車両を求め

 かつて首都圏を走った東急電鉄の車両を、地方で目にすることがあります。

 JRや大手私鉄は鉄道車両を手放すとき、そのすべてを廃車にするのではなく、一部を他社に譲渡(売却)するケースがあります。東急電鉄はこの譲渡を比較的多く行ってきたため、北は青森県の弘南鉄道から、南は熊本県の熊本電鉄(ただし現役引退済み)まで、各地で元東急電鉄の車両が見られます。2019年末には、田園都市線などで使われた8590系電車が富山地方鉄道へ譲渡されました。

【写真】譲渡前、東急線で現役だったころの1000系電車

 中小私鉄は予算面で、新車の導入が難しい場合があります。その際、老朽化した車両を置き換える手段として、先述のようにJRや大手私鉄から中古車両を購入するのです。たとえば岐阜県揖斐川(いびがわ)町と三重県桑名市を結ぶ養老鉄道は、東急電鉄から7700系電車を15両、6億1000万円で購入しています。1両当たり約4000万円です。また、福島県北部を走る福島交通は東急1000系電車2両を1億5000万円で購入。こちらは1両当たり7500万円です。

 ちなみに新車を導入するとどのくらいかかるのか、静岡鉄道はウェブサイトで、A3000形電車(12編成24両)の導入額は39億7200万円と公表しています。1両当たりにすると約1億6000万円です。

 車両の価格は、状態や両数など様々な要因で変わるため一概には言えませんが、中古車であれば新車より費用を安く抑えられることがわかります。

 しかし、導入側の鉄道会社も、中古車両なら何でもよいというわけではありません。中小私鉄では、急カーブがある、建物が線路脇に近接しているなどの理由で、長さや幅の大きい車両は走れないケースがあります。

東急7000系列や8000系列 大量製造が部品調達を容易に

 そのようななか、東急7700系や1000系は1両の長さが18mと、中小私鉄にとって、言ってしまえば「丁度よい」大きさでした。JRや大手私鉄の車両は、多くが長さ20mのもので、18mの車両は少数派。そのため、東急7700系や1000系は、中小私鉄からの引き合いが多いのです。

 加えて東急7700系や1000系、1両の長さが20mの東急8000系電車や東急8500系電車は車体がステンレス製であるため、従来の鋼鉄製に比べ軽量です。軽いぶん、線路への負荷が少なく省電力で走行できることも、中小私鉄が東急電鉄の車両を導入する理由です。ちなみに、伊豆急行のように海沿いに路線を持つ鉄道会社からは、ステンレス車体のため錆に強く、補修や塗装の手間が少なくて済むという点も評価されています。

 東急7700系を含む7000系列と8500系を含む8000系列は、合わせて800両以上が製造されました。大量に造られたため、メンテナンスの際は部品調達が容易なところも、大きなメリットでしょう。保有する車両数が大手ほど多くないため、従来の車両をすべて廃車にし元東急電鉄の車両へ統一することで、メンテナンス費用を抑える会社もあるほどです。

 このように、適度な大きさや軽い車体、メンテナンスの容易さなどといった理由で、元東急電鉄の車両は各中小私鉄に譲渡され、地方で見られるのです。

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最終更新:2/20(木) 20:46
乗りものニュース

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