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『プレーム兄貴、王になる』ミュージカル大国インドから決定版がついに上陸!

2/21(金) 12:04配信

CINEMORE

日本はミュージカルに飢えている。

 近年、日本で『レ・ミゼラブル』(12)や『グレイテスト・ショーマン』(17)などが大ヒットを飛ばしたことや、映画『キャッツ』(19)がアメリカでの不評をもろともせず公開週の興行収入1位発進したニュースは記憶に新しいところだろう。また、劇団四季や宝塚歌劇団を筆頭に、漫画を原作とした「2.5次元ミュージカル」から、オフ・ブロードウェイ発トロマ・エンターテイメントの「悪魔の毒々モンスター」ミュージカル舞台劇まで。「ミュージカル」という様式は、映画でも舞台でも、右肩上がりで人気を獲得している。

 今、日本はミュージカルに飢えている。

 そう言い切っても差し支え無いであろう。で、あれば。「何かと歌って踊り出す」ことで有名なインド映画を鑑賞するのは、そんな「ミュージカル欲求」を満たしてくれるのではなかろうか? と思いきや。近年のインド映画からはミュージカル・シーンが減ってきているのである。

 この現象はハリウッド製の映画がインドにも浸透してきたことや、シネコンの台頭により、かつての「プログラム・ピクチャー」様式が崩壊したことに所以している。グローバリゼーションはインド特有の映画文化も均質化したのである。

 だが、もちろん「すべて」では無い。3時間近い長編で、甘い恋愛模様に、暖かな家族のふれあい、スリルとサスペンス、血が沸騰するようなアクション、爆笑を誘うコメディが詰め込まれ、ミュージカル・シーンも満載の「マサラ・ムービー」は、まだまだ健在だ。

 そんな絵に描いたようなインド映画「マサラ・ムービー」の、しかも傑作が『プレーム兄貴、王になる』である。

これぞインド映画の決定版!

 仲間思いで気のいい男、プレームはみんなから慕われる大衆演劇のスターだ。彼は慈善活動家としても活躍する憧れのマイティリー姫と会うためにプリータムプル王国へ向かうのだが、道中で王国の従者にスカウトされる。聞けば、マイティリー姫のフィアンセでもあるプリータム王国の王子が意識不明の重体で、迫る王位継承の儀にそなえ瓜二つのプレームに王子の影武者となって欲しいというのだ。

 プレームは、これでマイティリー姫に会える! と快諾するが、王子は尊大かつ傲慢で、マイティリー姫のみならず義理の妹とも剣呑な仲であった。プレームは王子らしく振る舞おうとするも、アっという間に人の良さをメキメキ発揮してしまい、周囲のわだかまりを溶かしていくのだった。そんな中、王子を意識不明に追いやった陰謀がプレームにも忍び寄ってくる……

これが『プレーム兄貴、王になる』のあらすじだ。

 儚い恋心があり、家族の確執と氷解があり、おどけた笑いどころも満載で、ハラハラするスリルがあり、アクション場面もある、多くの人が想像するインド映画「マサラ・ムービー」そのものであろう。

 さらに、本作にはミュージカル場面もふんだんに盛り込まれている。ダンス・シーンは実に13回。バリエーションも豊富で、幻想的でしっとりとしたラブソングから、ふざけておどけたダンスに、大人数での一糸乱れぬ群舞まで、サービス満点で出し惜しみ無く振舞われる。

本作では「瓜二つだが育った環境が全く違う二人」というマーク・トウェインの「王子と乞食」の基本構造を流用した一人二役を利用しているが、インド映画では「一人二役」は非常にポピュラーな手法である。

 『バーフバリ』(15~17)の連作や、アーミル・カーンが出演した『チェイス!』(13)。『オーム・シャンティ・オーム 恋する輪廻』(07)では主演のシャー・ルク・カーンとディーピカー・パードゥコーンの2人がそれぞれ2役を演じていた。その他、日本公開されていない作品も含めれば「一人二役のインド映画」は100や200ではきかないハズで、その数は枚挙に遑がない。

 様々な点において、この『プレーム兄貴、王になる』は、インドの人々にとっても「豪華な定番作品」なのである。

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最終更新:2/21(金) 12:04
CINEMORE

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