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処理水の海洋放出「漁師に責任を負わせるな」処理水巡る議論、社会学者の懸念

2/21(金) 11:42配信

BuzzFeed Japan

福島第一原子力発電所では、事故で溶け落ちた核燃料を冷却するために水をかけることや、地下水が流入することによって生まれ続ける、放射性物質を含んだ「汚染水」。これを浄化処理にかけた「処理水」の処分方法について、経済産業省の有識者会議が2月10日、海洋か大気への放出が現実的だとする報告書を出した。【BuzzFeed Japan/千葉雄登】

外務省はこれに先立つ2月3日、在京の各国大使館を招いた説明会を開いている。政府は一歩一歩、処理水の海洋放出に向けて動いているように見える。

一方、福島県漁連をはじめとする地元関係者は、漁業などへの風評被害が起きることを強く懸念し、海への放出に反対する姿勢を崩していない。野崎哲会長は2月19日、経産省や各自治体などとの会合で「「風評被害への具体的な対策が示されておらず、納得できない」として、改めて反対する姿勢を示した。

福島の農水産業の課題分析を行い、原発事故後の風評被害の実態とその要因を調査してきた社会学者は、処理水の問題の議論のあり方と国の動きを、どう見ているのか。

筑波大学の五十嵐泰正准教授に聞いた。

「漁師に責任を負わせるな」

「漁師がキャスティングボートを握るような状況を作るな、ということです」

五十嵐さんは、国の合意形成のあり方そのものを疑問視している。

五十嵐さんは震災直後、ホットスポットとなった地元・千葉県柏市で「安全・安心の柏産柏消」円卓会議の事務局長を務め、生産者と消費者の食の安全と安心を考える取り組みを後押しした。研究やこうした活動をもとに、著書『原発事故と「食」』を出版した。

福島県漁連は以前から処理水の放出処分に反対している。「県漁連が反対し続けているから処分方法の決定が遅れている」という論調が一部にある。

この議論の進め方では、こうした状況に陥ることも仕方がない、と五十嵐さんは理解を示す。

「そもそも県漁連の立場からすれば、海洋放出を容認する理由がない。風評の影響がどのぐらいになるかは議論の余地がありますが、少なくともメリットはゼロですから。あたかも県漁連がキャスティングボートを握ってしまっているような構図を作ること自体が、僕は最低最悪だと思います」

「漁業はただでさえ後継者不足なのに、処理水を流すことになれば、いわきの漁村は例外的なところを除いて衰退が加速することは避けられない。(漁獲が制限される)試験操業期間が長引くかもしれませんし、若手に自分の後を継がせないという選択をする漁師が増えることも予想されます」

「そういったことに対して、政府は結果責任が求められるのではないでしょうか」

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最終更新:2/21(金) 15:18
BuzzFeed Japan

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