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紀平梨花、四大陸連覇で示した勝ち切る勝負強さ。「貫いた信念」と「成功の原動力」

2/21(金) 12:10配信

REAL SPORTS

その表情からは、充実感がにじみ出ていた。小さく、だが確かに見せたうなずきは、自らの演技に納得しているようだった。
男女を通じて初となる大会連覇を飾った紀平梨花が示した、「勝ち切る勝負強さ」。それは必ずや次なる戦い、世界選手権の表彰台へとつながっていくだろう――。

(文=沢田聡子)

17歳とは思えぬ緻密な努力が、時に紀平を悩ませてきた

今季の紀平梨花は、どんな状況でも勝ち切る勝負強さを手に入れた。

紀平が初優勝を果たした今季の全日本選手権、女子の最終グループは大荒れの展開となった。通常、全日本の女子最終グループといえばノーミスの演技が続き、観客はスタンディングオベーションを繰り返す展開が多い。しかし今回はメダリスト候補の選手が次々とミスをして崩れていき、会場の国立代々木競技場第一体育館は異様なムードに包まれた。

しかし、最終滑走で登場した紀平には、ミスの気配がまったくなかった。冒頭のサルコウは4回転ではなく3回転を選択してきっちりと決め、トリプルアクセル2本を含む構成をほぼ完璧に滑り切る。負の連鎖を見事に断ち切った紀平には、リンクに立った瞬間から風格すら漂っていた。

当然のように全日本初制覇を遂げた紀平だが、フリー後のミックスゾーンでは、実は気持ちに動揺があったことを明かしている。

「(全日本では)まだ一度も優勝していないし、本当に去年もすごく重要な大会と感じて……絶対一試合も外したくないという思いが強かったので、今回本当に気持ちがやばかったんですけど、なんとかこらえたなという感じがします」

原因は「最近ずっと寝られなかった」という睡眠の問題だった。紀平は、十分な睡眠をとれずに臨んだ今季グランプリファイナル・ショートプログラムで、珍しくコンビネーションジャンプで転倒、最下位発進となる苦い経験をしている。

「寝られない、というのがすごく不安で……ファイナルで寝ていなかった時に調子が上がらなかったので、それが多分トラウマみたいになってしまった。眠る時に“ビクッ”てきたりして、全然寝られなくてやばかったんですけど……そういうところがすごく不安になっていた。(全日本は)夜の試合ということで、自分の睡眠の課題があった。どんな状況でもできるかを試されているんじゃないかなと思ったので、どんな時でも絶対そこに合わせる気持ちで頑張りました」

紀平は、17歳とは思えないほど緻密な努力を重ねて今までの試合に臨んできた。周到に行う試合前の準備が、現在に至るまでの紀平の強さを支えていることは間違いない。しかしその一方で、「完全な準備をして臨みたい」という完璧主義が、時に試合に臨む紀平を悩ませてきたともいえる。2位に終わった昨季全日本の公式練習で、紀平が問題を抱えていた靴をしきりに気にしていた姿は、強く印象に残る。そして初優勝した1年後の全日本では、紀平は次のようにコメントした。

「最後、すごくいい感じでメンタルを持っていくことができたので、そういうところも調子に表れていたと思います」
「あまり昼寝ができなかったからといってどう(なのか)ということは、これから考えないで済むかもしれないので、そういうところは一番いい収穫だった」

今季の全日本で紀平は、初の栄冠とともに「どんな状況でも勝ち切る」強さを手に入れたのではないだろうか。

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最終更新:2/23(日) 20:12
REAL SPORTS

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