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【60年ぶりに姿を現したクーペ】タルボT26グランドスポーツ チェコで復活 後編

2/22(土) 16:50配信

AUTOCAR JAPAN

修復を受けずに50年間保管されていた

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
 
フィゴーニが生んだクーペ、タルボ・ラーゴT26グランドスポーツはチェコの街へと運ばれると、調査と分解が始まる。「ほとんどレストアされていなかったことは幸運でした。前に手を付けようとした専門家は、余りにも工数が多すぎると判断し、そのままの状態だったんです」 とクデラが説明する。

【写真】タルボ・ラーゴT26グランドスポーツ (25枚)

「むしろ、フロントにダメージがあったことは幸運だったかもしれません。別の部分なら修復されていて、倉庫に入ったままということはなかったはずです」

初めにボディーをシャシーから降ろし、シャシーが曲がっていないことを確認した。だが、サポート部分に予期せぬ費用が掛かった。「オリジナルのサポート部分は木製で、状態は良く、90%はリビルトして使っています」

「フィゴーニの職人の技術水準には感銘を受けました。イタリアのコーチビルダーとは異なりハンマーで叩くのではなく、英国製の成形用ホイール選び、アルミニウムを転がしてボディを成形しているのです」

インテリアは完全にオリジナルのままだった。レザートリムはカリフォルニアの太陽の光で傷んでいたが、装飾の下の部分から、オリジナルの色を探し当てた。特徴的なメーターやスイッチ類、ステアリングホイールは取り外し、仕上げ直した。

サイドシルの部分など、真鍮製のクローム・ボディトリムは多くが残っていたが、ダメージを受けていたフロント部分はチャレンジングな課題だった。「箱の中にオリジナルのフロントグリルのトリムは一部は見つけましたが、残りはワークショップで自作しました」

過去の写真を拡大し細部を確認

「本を書いた歴史家のピーターなどが、細部の様子が分かる写真を用意してくれて、とても助かりました」 と笑顔で話すクデラ。ボディラインに合うように整形した部品は、英国のクロームメッキ職人へと送られた。

仮組み立てを行い、ボディのフィッティングとギャップ調整を行うと、白のプライマーで下地を塗り、最終的な塗装へと進んだ。配線類はオリジナルが残っていたが劣化が進んでおり、完璧な複製を作り直している。

1949年のパリ・サロンの写真を見ると、フロントガラスにはノトロラック社の告知サインが載せられている。ボディの塗装に特殊な仕上げが施されていることを紹介するものだ。

「アメリカではボディの色が剥がれていましたが、ヒンジの下にオリジナルの塗装が残っていました。これを手がかりに、正しい青色を調色できました」 と振り返るクデラ。

残る作業は、プラスティック製のサンルーフ。「レストアを通じて、可能な限りオリジナルを活かして復元しています。サンルーフは退色していましたが、磨き直して傷を取り、載せています」

ホイールカバーはなくなっていたため、作り直した。「1959年の写真を見る限り、既にその時点で付いていません。これは本当に難しい作業でした。過去の写真をスケールアップし、ディスクをデザインして、3Dモデルを試作しました。それからカリフォルニアの専門家へ送り、1セットを作ってもらっています」

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最終更新:2/22(土) 16:50
AUTOCAR JAPAN

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