ここから本文です

金融庁市場ワーキング・グループ委員の一人、慶應大・駒村教授に聞く。“老後2000万円問題”に備えて、30・40代がしておきたいことって?

2/26(水) 8:10配信

ファイナンシャルフィールド

2019年6月に発表され、世間の注目を集めた「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」(以下、金融庁報告書)。

“老後2000万円不足する”という部分に注目が集まった金融庁報告書ですが、この報告書をまとめた委員の一人である慶應義塾大学の駒村教授は、本来の目的を“高齢社会にふさわしい資産づくり”だといいます。

駒村教授が本当に伝えたかったこととは、どのようなことなのでしょうか? 30代・40代の現役世代が準備しておくべきこととあわせて伺いました。

年金の給付水準の低下と親の高齢化……。これからの日本に起きることって?

――昨年、話題になった金融庁報告書ですが、先生が一番伝えたかったポイントはどこでしょうか?

まず内容についてですが、前半と後半に大きく分かれています。全体としては生涯にわたる資産形成の内容ですが、前半部分は若年層に向けて、後半部分は現在の高齢者に向けて書かれています。

まずは前半部分について。現在の高齢夫婦無職世帯の平均収入は約20万円、支出は約25万円で、毎月平均5万円の赤字となっています。他方で高齢者の平均金融資産を見てみると、約2500万円です。つまり毎月赤字ではありますが資産を取り崩しながら生活ができるということです。

冒頭の例は「モデル」でも「標準」でもなく、あくまで統計の“平均”で、老後に必要な資産は人それぞれです。ただし、今の高齢者の生活水準を維持するためには、現役世代は準備しておくことが必要です。今後、年金の給付水準が確実に低下していきますので、そのことを理解しておくことが鍵となります。

また、この年金の給付水準についてもう少し説明すると、現在の所得代替率60%から、将来は50%にまで下がると見込まれます。所得代替率とは、受給開始時点でのモデル世帯の厚生年金年金額と現役世代の手取り収入額との割合を示したものです。この所得代替率が高くなれば受給できる年金額が増え、低くなると下がります。

これは2014年にも公表され、2019年にも確認されているのですが、あまり知られていません。金融庁の報告書で、急に注目を集めて騒動になりました。

次に後半部分についてです。昨年(2019年)10月から再開された金融審議会での中心的議論にもなっていますが、認知機能が低下した高齢者の資産管理をどうしていくのかという問題に触れています。

一定の年齢になれば正常加齢でも意思決定が難しくなったり、判断力にブレがでてきたりします。さらに認知症が出てくると、どうなるでしょうか? 自力での資産管理は難しくなるはずでしょう。

若い人の資産形成の話も、高齢者の資産管理の話も、個人のレベルにとどまるものではなく、国の制度や金融サービスの供給サイドである金融機関の対応も重要になります。この点については、次のワーキング・グループで重点的に議論したいと考えています。

――本来の意図とは違う受け取られ方をしてしまった金融庁報告書ですが、発表したことで何か良い影響は感じましたか?

現役世代の方は老後の準備の重要性を認識したのではないかと思います。また高齢者の認知機能と資産管理を考えることの重要性を確認できたのもポイントです。この部分は、福岡のG20のポリシープライオリティのなかでは、国際的な金融排除のメインテーマとして取り上げられました。

金融排除というのは、イギリスなどの国では、低所得者が口座を持てないというロジックで出てきますが、高齢化する国の場合は、先ほども申し上げました通り、高齢者の認知機能の低下によって、記憶にもとづいた資産管理ができなくなる、暗証番号を忘れて自分の口座にアクセスできなくなる、そのような問題として現れてきます。

こういうことを先進国の共通の問題として共有することができましたので、金融庁報告書の意義はあったと思います。

1/2ページ

最終更新:2/26(水) 8:10
ファイナンシャルフィールド

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ