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観光の犠牲になるゾウ、劣悪な環境で見世物に タイ

2/27(木) 15:34配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【2月27日 AFP】母親から引き離され、金属製のフックで小突かれ、時には餌も取り上げられる――タイのゾウの多くは力で飼いならされる。こうして手なずけられたゾウは、残酷な仕打ちに敏感な旅行者の目を気にして「保護区」と名を変えた、多額の利益をもたらす観光施設に売られていく。

 2歳の雌ゾウ「プロイ」は、後ろ足で不安定にバランスを取りながら鼻でボールをつかみ、バスケットのゴールに向かって投げた。これは、タイ東北部で古くからゾウの訓練をしているタークラン村(Ban Ta Klang)で、プロイが教え込まれている芸の一つだ。

 ここの若いゾウは、観光客の相手をできるよう「壊される」。タイには年間数千万人の観光客が訪れており、国獣であるゾウがスポーツやダンス、絵を描いたりする姿をSNSに投稿しようと夢中になって撮影する人も多い。

 タークラン村で何世代にもわたりゾウと仕事をしてきた村人たちは、調教は安全上の理由から行っているもので、必要以上の力は使っていないと話す。

「傷つけるために育てているわけではない…頑固でなければ、私たちも何もしない」と、ゾウ使いのチャリンさんは頭をいとおしそうになでながら、プロイは家族の一員だと語った。

 チャリンさんは、父親や祖父から受け継いだこの仕事で、月約350ドル(約3万8000円)を稼いでいる。

 だが動物保護団体は、2歳の子ゾウを母親から引き離すといった方法は、残酷で時代遅れだと批判している。

 あまり知られていないが、加熱するゾウの観光化には不透明な部分が多く、旅行業者や観光客の目から隠された一面も存在する。

■1頭約880万円の値が付くゾウも

 ゾウはかつてタイの木材産業の労働力を担っていたが、約30年前から徐々に仕事がなくなり、ゾウ使いは失業した。

 仕事を失ったゾウ使いは活況を呈する観光産業に活路を求め、観光客を乗せ、曲芸を披露する遊園地などで働き始めた。

 飼いならされたゾウは、最高8万ドル(約880万円)の値が付く。巨額の資金を投じて購入した業者は、元を取るためゾウに長時間におよぶつらい仕事をさせる。最近では一風変わった芸を教え込むことも増えている。

 タイ北部チェンマイ(Chiang Mai)のメーテーン(Mae Taeng)公園には、1日約5000人が訪れる。入場料は1人当たり約50ドル(約5500円)だ。

 鼻で筆を持ち、日本風の風景画を描くゾウ「スダー」を目当てにこの公園を訪れる人も多い。スダーの描いた絵は最高150ドル(約1万6000円)で販売されている。この公園では、ゾウに乗って丘を散策することもできる。

■エシカルツーリズム?

 動物保護団体「ワールド・アニマル・プロテクション(WAP)」によると、タイ全土で把握されているエレファントパークは220か所あるが、倫理的な観光をうたっている場所でさえも「真に満足できる飼育環境を整備しているところは10か所程度にすぎない」という。

 タイには「家畜化された」ゾウが4000頭近くいる。ゾウを自然に戻すよう訴えるNGOもあるが、タイ政府はゾウが生息できる場所がなく、人間と衝突する恐れもあるとして消極的だ。

 妥協案として、業界全体の規制を強化し、飼育基準の引き上げを求める声も一部から出ているが、昨年の観光客数が3800万人以上に上るタイでは観光産業に干渉するような厳格な法律を制定することは難しい。

 WAPのヤン・シュミットブルバッハ(Jan Schmidt-Burbach)氏はAFPに、前回2015年の調査では、約1771頭のゾウが疑わしい環境で飼育されていたと指摘した。2010年の調査に比べ357頭増えているという。

 映像は2019年11月撮影。(c)AFPBB News

最終更新:2/27(木) 15:34
AFPBB News

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