新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が拡大し、さまざまな予防法に関する情報が出回っています。ですが、現在判明している感染経路から、一番確実な予防法は手指を清潔に保つことです。手洗いのほか、アルコール消毒も推奨されています。アルコールはなぜ有効なのでしょうか。【News & Journal 編集部】
いまわかっている新型コロナウイルスの主な感染経路は「接触感染」と「飛沫(ひまつ)感染」です。
接触感染とは、ウイルスなどの病原体が付着したものに触れた手指で目や鼻などの粘膜に触ることで起こります。
ウイルスは「環境表面」と呼ばれるドアノブ、階段の手すり、椅子のひじ掛け、照明のスイッチ、電車の手すりやつり革、エレベーターのボタンなどさまざまな場所に付着し、しばらくの間感染力を保っています(新型コロナウイルスに関しては「1時間程度」との情報もありますが、正式に研究で確認されてはいないようです)。そうしたものに触れた指で目や鼻の粘膜に触れてしまうと、そこからウイルスが体内に入り込み感染してしまいます。
かゆみを感じたり違和感があったりする時、そして無意識にも、目や鼻を触ってしまう機会は多いものです。その時、手指に環境表面から付着していたウイルスが残っていたら、感染してしまうことになるのです。
感染予防に手洗いが真っ先に推奨されるのは、手指についたウイルスなどの病原体を洗い流すことで、この接触感染のリスクを減らすことができるからです。
とはいえ、外出先などでは頻繁に手洗いをできるものでもありません。そんなときに有効なのがアルコール消毒です。ただし、家庭や職場などでしっかりと手洗いができれば、アルコール消毒は必ずしも必要ではありません。
ネット上では「新型コロナウイルスにアルコールは効かない」という“デマ”が流れ、2月6日に厚生労働省がツイッターで「ネット上の誤った情報にご注意ください」「厚生労働省では、咳(せき)エチケットや手洗い、うがいなどと並んで、『アルコール消毒』を行っていただくよう、国民の皆さまにお願いしています」などと呼びかけました。
感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスなど、アルコールでの消毒が難しいウイルスは、確かにあります。しかし、新型を含むコロナウイルスに、アルコール消毒は有効です。
なぜでしょうか。それは、コロナウイルスが「エンベロープウイルス」の1つだからです。
図の上段がエンベロープウイルス、下段はエンベロープを持たない「ノンエンベロープウイルス」のイメージです。上段の図で水色の点線で描かれているのがエンベロープ、両方に共通する六角形は「カプシド」と呼ばれる“殻”、波線は遺伝物質(DNAまたはRNA)を表します。
ウイルスは、基本的に遺伝物質(コロナウイルスは一本鎖RNA)とその“入れ物”からできた粒子で、それだけでエネルギーを消費したり自己の複製をつくったりするといった活動はできません。他の生物の細胞に取り付いて中に入り込み、そこにある酵素やアミノ酸などを勝手に使って増殖、最後はその細胞を飛び出し、さらにほかの細胞に取り付き……という過程を繰り返し増えてゆきます。エンベロープは、それを持つウイルスが細胞の表面に取り付く際に重要な役割を果たし、破壊されると感染力が失われ(失活し)ます。
エンベロープは脂を主成分とし水をはじく「脂質二重膜」という膜でできています。アルコールは、膜の主成分の脂質を溶解することでウイルスの感染力を失わせることができるのです。
最終更新:2/28(金) 11:40
Medical Note
































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