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韓国初の女性メインキャスター、業界と社会の壁を壊して草分けに

2/29(土) 13:03配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【2月29日 AFP】韓国放送公社(KBS)のゴールデンタイムに放送されるニュース番組の本番を控えたスタジオでは、まばゆいライトの中でイ・ソジョン(Lee So-jeong)氏(43)がテレビ用プロンプターの原稿を下読みしながらリハーサルを行っていた──。

 イ氏は「ニュース9(News 9)」の顔として、週5回、全国のお茶の間にニュースを届けている。韓国社会はテクノロジーの面でも経済的にも発展を遂げたが、文化的にはいまだに男性優位で、テレビ業界も長年、男性中心の組織構造が当たり前だった。そのような中、初の女性キャスターとしてイ氏が抜てきされた。
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 韓国のテレビのニュース番組は旧態依然とした構成で、真面目そうな年配の男性キャスターがその日の主なニュースを伝え、若い女性のアシスタントが番組後半で軽めのニュースを担当する。イ氏の後輩たちの中には、仕事を諦め、財閥企業を所有する富豪一族の元に嫁いだ女性たちもいる。

 しかし、イ氏がKBSのキャスターに選ばれたことで逆転現象も起きた。若い男性アシスタントも付いた。

 かつての女性アナウンサーは「見た目の美しさ」だけを求められる存在だった、とイ氏はAFPに語った。だが、イ氏には大きな目標があった。KBSの保守的なスタイルを変え、若い視聴者を獲得するという目標だ。若い視聴者は、「視聴者に講義する」スタイルを取ることが多いニュース番組にうんざりしていたというのだ。

「ニュース9」は現在、ニュース番組としては国内で最も人気があり、イ氏がキャスターを務めるようになった昨年11月以降、視聴率は9.6%から11%に上昇した。

 だが、「草分け」であるが故のプレッシャーはあるといい、不公平ではあるが、自らにはたった一つのミスも許されないことを認識していると話す。「私が失敗したら、他の女性記者たち全員がおとしめられることになるかもしれない」

 そして「他の女性たちがもっとチャンスをつかめるよう、私がうまくやらないと」と述べ、「そうした責任と重圧は、ゴールデンタイムのニュースの生放送よりもとても大きい」と付け加えた。

■社会的圧力から子どもを産まない韓国女性たち

 韓国は、朝鮮戦争の惨禍から復興を遂げて世界12位の経済大国に成長したが、伝統的な社会的価値観がいまだに幅を利かせている。男女の賃金格差は先進国の中で最も大きく、女性の平均賃金は男性の約3分の2となっている。さらに、働きながら子どもを育てている女性たちは、子育てと仕事の両方に秀でていなければならないというプレッシャーも受ける。

 多くの女性は、職場では昇進を阻む壁にぶち当たり、一方で育児という大きな負担も抱えるため、しっかりとした教育を受けながらもキャリアを断念することを強いられてしまう。

 こうした社会的な圧力に直面し、多くの女性が子どもを産まない選択を下す。韓国の合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子どもの数)は2018年に0.98に低下。人口を維持するために必要な水準値2.1を大幅に下回った。

 この傾向は、2003年にテレビ業界で働き始め、現在、6歳の息子を持つイ氏にとってはあまりに身近だ。

「キャリアを断念したベテランの女性ジャーナリストを大勢見てきた」とイ氏は言う。

「そのことに失望させられるだけではなく、悔しいという気持ちにもなった」

 そして自身も、1年間の産休から職場に復帰した際に困難にぶつかったと語り、「母親としてもジャーナリストとしても自分が中途半端に思えた」と当時を振り返る。

 そのような時に職場のある女性の先輩から「自分にあまり厳しくしない方がいい」と電話でアドバイスをもらったことに触れたイ氏は、「若い女性たちには仕事でベストを尽くしてほしいけど、自らの力が及ばないことで自分を責めないでほしい」と続けた。

 映像は6日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:3/2(月) 12:21
AFPBB News

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