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国内の事例から分かった新型コロナの深刻度~ウイルスとの戦いは年単位か

3/4(水) 14:47配信

Medical Note

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大を防ぐために政府が大規模なイベントなどの自粛要請をしてから1週間。月が明けて小中高校の一斉休校も3月2日から始まりました。こうした対策で、感染を封じ込めることはできるのでしょうか。厚生労働省の支援にもあたっている、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授、和田耕治さんに、いま理解すべきこと、この先に向けて議論すべきことなどについて聞きました。【News & Journal 編集部】

◇高齢の感染者100人のうち5人は人工呼吸器が必要に

政府は2月26日に「大勢の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベントなどについて、今後2週間は、中止、延期または規模縮小などの対応」を要請しました。ですが、なぜやめなければいけないのかが、国民に伝わっていません。

新型コロナウイルスの国内感染で何が起きようとしているのか。そのヒントはクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客にあります。

あの船で分かったことは、60~80歳代の海外旅行に行けるような、比較的元気な人が感染するとどうなるかということです。

感染者の5割は比較的軽症で、症状のない人も多い。3割は熱やせき、倦怠(けんたい)感などの症状がありますが、入院が必要とまではいえないレベルです。残る2割が、入院が必要なぐらい重症で、さらに感染者全体の5%にあたる人が、人工呼吸器が必要な状態になります。そのような重症の人は集中治療室(ICU)での管理が必要になります。

◇必要な人が医療を受けられる体制維持に必要なこと

これは、これから高齢者施設などで起きうることです。

例えば、100人の入所者がいる施設で感染が起こったとしましょう。皆さん距離が近いので容易に広がります。そうなると、約80人は大丈夫ですが、症状が重い方の20~25人は入院が必要になって、うち5人が人工呼吸器を必要とする。それだけの人がICUに入ると、今度は他の病気、例えば抗がん剤や脳梗塞(こうそく)、重症の事故などの治療ができなくなります。ICUに感染症の人が来ることは想定されていません。

ICUに感染症の人が入ると、接触感染で広がる恐れが高いので、ほかの術後の人などをICUに入れられなくなります。そうすると、医療がパンクすることになるわけです。

自分は高齢者じゃないから大丈夫、と思っている人がいるかもしれませんが、ほかの病気になったり大けがをしたりする可能性はあります。そういう時にも医療にかかれるようにしておくためには、感染者の母数を減らして医療施設がパンクしないようにしなければいけないのです。

新型コロナウイルスのことだけを考えてハイリスクグループを救うというだけではなく、すべての必要な人に医療が提供できる態勢を維持するためにはどうしたらいいかを考えなければいけません。そのことが、多くの方にきちんと伝わっていないのです。

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最終更新:3/4(水) 14:47
Medical Note

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