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社説[新型肺炎 観光直撃]雇用守る有効な対策を

3/5(木) 8:10配信

沖縄タイムス

 県内旅行業大手の沖縄ツーリスト(OTS)は、観光客減による経営悪化を受け、社員の4割以上に当たる最大250人の計画的休業に踏み切った。観光分野で沖縄経済を支えてきた同社の計画的休業は、新型コロナウイルスによる感染拡大が企業経営を直撃し、もはや自助努力だけでは立ち行かない深刻な局面に入ったことを示している。

 厚生労働省が休業手当の一部を補助する雇用調整助成金の対象を拡大したことを受けたもので、休業期間中の給与は満額支給するという。OTS以外にも観光関連産業を中心に、従業員の休業を余儀なくされる企業が相次いでいる。

 沖縄観光は逆風の真っただ中にある。

 県によると2月時点で、海外と県内を結ぶ航空路線は前年同月比で73便減り、クルーズ船寄港も56隻が中止になった。

 日韓関係の悪化や香港の情勢不安によるインバウンド(訪日観光客)減少に続き、新型コロナに伴う中国団体客、さらに国内客の旅行マインドの冷え込みで、出口が見えない状況が続いている。

 影響は旅行業やホテルなどの宿泊施設にとどまらず、観光バス、飲食業や行楽施設など幅広い業界に広がっている。

 本土では、中国客のキャンセルを受けた老舗旅館、食品製造業者が破綻に追い込まれるケースが出てきている。

 県内では倒産は発生していないものの、長期化すれば、持ちこたえられない会社も出てくるのではないか。

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 体力の弱い中小零細企業や自営業者への支援に猶予はない。

 厚労省は雇用調整助成金の特例を感染拡大で売り上げが落ちた企業にも幅広く運用。イベントの自粛で従業員を休ませた場合でも適用する。周知を徹底し、経済的停滞感を払拭(ふっしょく)するよう努めなければならない。

 政府は近く2700億円を超える第2弾となる緊急対応策をまとめる。くらし全般を覆う不安を少しでも解消することが、喫緊の課題だ。

 自民党がまとめた提言には「コロナ対策特別貸付」の創設、観光業へのクーポンやポイント発行などを通じた支援、休校措置で休業せざるを得なくなった個人事業主や非正規雇用者への支援が盛り込まれている。野党と協力して検討を加速してほしい。

 感染の抑止と経済対策を両輪として、政府には全力を尽くしてもらいたい。

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 沖縄観光コンベンションビューローの委員会は、感染拡大が及ぼす今後3カ月の影響について、入域観光客数が前年同期と比べ152万人減って、県内消費額も1024億円減少すると推計している。

 現在の状況が続けば、2001年の米同時多発テロ後の被害を上回る。

 雇用悪化への懸念が高まり、長期的な景気後退への分水嶺(れい)に立っている。

 目前の危機を直視し、政治主導による踏み込んだ対策が必要だ。取り得る施策を総動員し、乗り越えなければならない。

最終更新:3/5(木) 8:10
沖縄タイムス

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