【記者:Pippa Field】
スケートボードを選ぶ理由はたくさんある。体を動かすためのスポーツであり、自分を探し表現する方法であり、もしかしたら五輪選手になることだってできる。そして戦争に引き裂かれたアフガニスタンで成長した少女たちにとって、スケートボードは自由の象徴だ。
米アカデミー賞で短編ドキュメンタリー賞を受賞したキャロル・ディシンジャー監督の『Learning to Skateboard in a War Zone (if You’re a Girl)』(紛争地帯でスケートボードを習う─あなたが少女だったら)は、心温まり、かつ考えさせられる作品だ。
正式な教育を受ける機会を与えられた少女たちに1年間密着し、その成長と屋内スケート場でスケートボードの技を磨いていく様子を女性スタッフだけで撮影した。
学校で勉強しながらスケートボードもできるとなれば、世界中の子どもたちが飛びつきそうだ。しかしこれは、子供の遊びの範疇(はんちゅう)を超えている。
アフガニスタンはいまだに、女性として生まれるには世界で最悪の場所の一つだ。ほとんどの女性は一度も読み方を習ったことがない(旧支配勢力タリバンの時代に教育システムは破壊され、読み書きができる女性はわずか13%だ)。多くの少女たちが児童婚を強要され、また家庭の内外で暴力を受ける脅威にさらされている。
一方、スケートボードは世界中で一大ビジネスとなっており、大衆スポーツとしてマーケティングされているが、アフガニスタンではスポーツと認識されていない。
NPOスケーティスタンを創設したのは、オーストラリアのスケートボーダーで研究者のオリバー・ペルコビッチ氏だ。同氏は2007年、スケートボード3台と「先入観のない心」を持って、アフガニスタンの首都カブールにやって来た。アフガニスタンで運営している複数の学校には昨年、毎週2351人の児童が出席し、そのうち43%は女子だった。スケーティスタンは、今ではカンボジアや南アフリカでも恵まれない子どもたちの支援プログラムを行っている。
熱心な生徒たちが大きな興味を持って注目しているのは、東京五輪に出場を予定する英国最年少のスケートボード選手、スカイ・ブラウン(11)さんだろう。ブラウン選手はこの3年間、「スケーティスタン市民(大使)」として活動している。2018年にはカンボジアの首都プノンペンでスケート学校の開設を支援し、コラボ商品として製作されたスケートボードデッキの収益を寄付している。目を凝らせば、ブラウン選手のデッキを飾っているスケーティスタンのロゴに気付くはずだ。
支援の根底には「恐怖を感じないですむ場所で」「スケートボードとクリエイティブな教育を通じて子どもたちに活力を与えたい」というスケーティスタンの目標がある。
アフガニスタン社会では、屋外で自由にスケートボードに乗ることは今も女子には許されないだろう。しかし自由はさまざまな形でもたらされる。教育、エンパワーメント、そして何よりも大事な希望が差し伸べられていることで、スケーティスタンの学校の壁の中で安全にスケートボードを楽しむ少年少女たちの地平線は広がりつつある。【翻訳編集】AFPBB News
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最終更新:3/8(日) 12:08
The Telegraph































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