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ワンオペに怒り心頭だった妻が「大黒柱」になって起きたこと。漫画家・田房永子に聞く夫婦

3/12(木) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

『母がしんどい』で母と娘の関係を、『ママだって、人間』で子どもを産んだ女性の赤裸々な叫びを描いてきた気鋭の漫画家、田房永子さんは現在、ウェブメディアのcakes(ケイクス)上で『大黒柱妻の日常』を連載中。妻の方が収入が多く一家を支える夫婦の関係を描き、共感と話題を巻き起こしている。

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女性の平均年収が男性の7割という日本社会では、男性が「大黒柱」を担うケースが圧倒的に多い。マジョリティーの夫婦像を男女逆転することで、同作品は、男女の役割分担の不均衡や固定観念、家族とは夫婦とはを突きつけてくる。

作者の田房さんに、大黒柱妻の背景と現代の夫婦について、聞いた。

1人目を産んでから怒り心頭だった

「親になる瞬間は同じなのに、女はできて当たり前。だけど男の人は何も変わらずにいられる。 女の人だけが状況に合わせてアップデートする』を前提にした社会構造になっていることに、一人目を産んでから気づきました 。時代は変わったのに男の人たちだけは『昭和のお父さん』でいられる。自分の夫に父親の意識を持たせることまでもが、妻の役目に含まれている」

3月上旬、東京都内の私鉄沿線の駅前のカフェで、マスク姿の田房さんは、「大黒柱妻」の設定を選んだ背景について、語り始めた。

新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の学校が一斉休校になったばかり。田房さん自身も、小学2年生と2歳の姉弟の子育て中だ。フォトグラファーも編集者も、同席者全員がマスク姿でインタビューを行った。

「多くの女の人がワンオペ育児をやらざるを得ない状況になっているのに、男の人たちは平然としている。そんな社会に怒り心頭でした。ところが、自分が『大黒柱』側の立場になった時に、振る舞いが自然と『昭和のお父さん』になったんです 」

その背景に「立場」の問題があるのではないかと、『大黒柱妻の日常』は投げかける。

「男の人が女の人より変化に鈍感で、育児や家事が他人事になりやすいのは脳や体の作りの差でそうなるんだと思ってたけど、立場の問題もある。その立場になると同じことをしてしまう、という心理の癖みたいなものが人間にはあるんですね。人間関係には陥りやすいパターンがあるという視点をあらかじめ入れると、社会づくりが合理的に進むと思いました」

連載を始める前から、実は夫より収入の高い「大黒柱妻」だと打ち明ける人はけっこう周りにいたという。

「わざわざ言う必要もないから、女同士でもあまり知らない。『大黒柱妻の日常』を描き始めて『ヒモを養う女の話か』とネットに書かれていて驚きました。専業主婦はヒモなんて言われないのに、男になると急にヒモという侮蔑的な名称がつく」

そこには「男性の方が収入が多いはず」という先入観に加え、「多くあるべき」という圧もないか。

「男性は『結婚=大黒柱になる』だから、周りから『えらいわね!しっかりね!』みたいな結婚式テンションで激励される感じがします。一方、大黒柱妻は人知れず大黒柱になっているケースが多い。表向きは『もちろん夫の方が収入が上です』みたいなフリをしなきゃなんない時もあったり」

実際の大黒柱妻はどっちが収入が上とかどうでもいいこと、という感じの夫婦が多いという。

「よく考えたら昔からお母さんが大黒柱の家庭って実はかなりたくさんあったと思います」

田房さんの口調は淡々としながらもその言葉は鋭く、人間関係に対して分析的。それは自身の母子関係、夫婦関係、子育てを題材にしてきた作風そのままだ。

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最終更新:3/12(木) 18:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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