東京メトロと都営地下鉄は、両社の路線が乗り入れる九段下駅(東京都千代田区)の改札口について、2020年3月14日から完全に一体化します。
【地図】分かれたあと再び交わる東京メトロと都営の路線
九段下駅では2013年3月に、東京メトロ半蔵門線押上方面行きホームと、都営新宿線新宿方面行きホームを隔てる壁が撤去され、同時にこれら2路線の改札口が共通化されていました。今回、地下3階にある半蔵門線・新宿線の改札口4か所を撤去するとともに、地下2階の東京メトロ東西線改札口2か所を移設し、3路線の改札口を共通化することで、改札口を出ることなく東西線と半蔵門線・都営新宿線の乗り換えが可能になります。
東京メトロと都営地下鉄のふたつの地下鉄事業者は、それぞれ別の運賃体系を取っているため、先述した九段下駅と、線路を共用する南北線・都営三田線の目黒~白金高輪間各駅を除き、基本的に両社の改札口は分離されています。では、ほかの乗換駅も九段下駅のように、改札を共通化して乗り換えを便利にすることはできるのでしょうか。
大きな問題となるのが運賃計算です。ICカード利用時の運賃は原則として、実際に乗車した経路によらず、乗車駅と下車駅を結ぶ経路のうち最も安い運賃で計算します。
たとえば目黒駅から九段下駅まで移動する場合、都営三田線で神保町駅に出て都営新宿線に乗り換えるルートと、南北線で永田町駅に出て半蔵門線に乗り換えるルートが考えられます。単純に乗車距離と運賃(IC運賃)を照らし合わせると、都営地下鉄を使うルートだと10.2kmなので10kmから15kmの運賃が適用され272円、東京メトロを使うルートだと7kmから11kmの運賃が適用され199円になります。しかし、九段下駅の改札は都営新宿線と半蔵門線がつながっているため、安い東京メトロの運賃が適用され、どちらのルートを選択しても運賃は199円となります。
こうした運賃のルールが及ぼす影響は、九段下駅だけがつながっている場合は限定的ですが、改札を共用する駅が増えていくと厄介な問題になってきます。
たとえば東京メトロ南北線と都営三田線は、共用する港区の白金高輪駅から、南北線は皇居の西側を通って北に、三田線は皇居の東側を通って北にそれぞれ進み、文京区の南北線後楽園駅と三田線春日駅で交差しています。なお後楽園駅と春日駅は、名称は異なりますが同一駅扱いです。
白金高輪~後楽園・春日間の運賃(IC)は、南北線が199円、三田線が220円ですが、仮に後楽園駅と春日駅の改札内を繋げた場合、三田線を利用した場合でもより安価な南北線の運賃が適用され、すべて南北線の利用者として計上されることになります。これでは、東京メトロよりも運賃水準が高い都営地下鉄にとっては、大きな減収要因となってしまいます。
改札内のつながった駅が増えるほど、こうした問題もまた増えていき、最終的には東京メトロと都営地下鉄の運賃を一体化する以外に解決策は無くなるでしょう。しかし、黒字化したとはいえ、いまだに累積欠損金を抱える都営地下鉄が、減収要因となる運賃一体化を進めることは、現時点では困難と筆者(枝久保達也:鉄道ライター・都市交通史研究家)は考えます。
また、同事業者の路線間でも改札を一旦出て乗り換える駅が多くあるように、駅の構造上、改札口を共通化することが必ずしも利便性向上につながるとも限りません。当面は、九段下駅など一部の駅を除き、両社の改札口は分離されたままであろうと考えます。
最終更新:3/12(木) 10:54
乗りものニュース































読み込み中…