新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
感染者は、日本では1000人を超え、世界では10万人を突破し、南極以外の全大陸が感染地帯になっている。WHOはまだ明言しないが、パンデミック(世界的流行)になったと言ってよい。
このような状況で気にかかるのは東京五輪の行方である。
中国の感染者増加率は低減しており、ピークアウトしそうである。ところが、ここに来て、日本、韓国、イタリア、イランが厳しい状況になっている。北イタリアで爆発的に感染が広がっているが、これが、フランス、ドイツ、スイス、スペインなど周辺諸国に飛び火している。
感染は、3月9日現在で、100以上の国と地域に拡大し国別には、イタリアや韓国で7000人を超え、イランでも6000人以上、、フランスもドイツも1000人を突破している。
日本は、クルーズ船やチャーター機分を除いても、感染者は500人を超えている。ヨーロッパでは感染拡大のスピードが速く、各国は封じ込めに懸命である。7千人以上に感染者が拡大したイタリアは、1600万人が住むミラノを含む北イタリア地帯を封鎖した。イタリアが「第二の武漢」になりつつある。
近代オリンピックはヨーロッパで誕生した。提唱したクーベルタンはフランス人であり、フランス語がIOCの第一公用語である。私は、都知事のときに東京五輪の準備のためにIOCと何度も交渉したが、この組織はヨーロッパ貴族のサロンに似ており、若い頃にヨーロッパ各国で勉強したことが役立った。
バッハ会長はドイツ人であり、また本部はスイスのローザンヌにある。フランス、ドイツ、スイスの爆発的感染拡大がさらに進み、5月末までに終息しなければ、欧州人の心理状態からしても東京五輪に参加するような雰囲気にはならないであろう。
そして、懸念されるのは、アメリカにおける感染の拡大である。既に、感染者が日本を超え、550人以上となっている。また、日本と同様にクルーズ船での感染も報告されている。
オリンピックの開催は、財政的にアメリカTV局の放映権料に依存している。そのアメリカで新型コロナウイルスが蔓延していけば、東京五輪を中止する要因がさらに増えることになる。
また、イランで拡大する感染が中東全体に広がりつつある。
しかも、今回の新型コロナウイルスは、発症しても症例がなかったり、発症しなくても感染させたりするという。さらに潜伏期間が長く、2週間どころか、27日間というケースも報告されている。
インフルエンザの場合は、潜伏期間が1~3日であり、2009年の新型インフルエンザ発生のときは、厚労大臣の私は1週間単位で政策の見直しを行うことができた。
ところが、今回は潜伏期間が長い分だけ、1ヶ月単位での対応が求められる。5月末までに東京五輪の開催か中止かを決めるとすれば、少なくとも4月末には感染症が終息していなければならないことになる。5月末に終息したとしても、潜伏期間を過ぎた患者が6月になって続出するようでは困るからである。
新型インフルエンザのときは、ワクチンや治療薬の開発も迅速で、軽症者はタミフルを投与して自宅で静養すれば治癒することがわかり、そのことが心理的にも安心材料となったのである。今回は、まだ両者とも開発されておらず、既存の薬で対処療法を施すしかない状況である。
日本が新型コロナウイルス対策に頑張っても、他の国々で感染が拡大していくようでは、五輪開催は困難になる。
以上のような様々な要因を考えれば、東京五輪開催について悲観論が高まるのは理解できるところである。
国際協力で何とかしてウイルスを閉じ込め、またワクチンや薬の開発を急いで五輪を開催し、成功させねばならない。
舛添 要一 (国際政治学者)
最終更新:3/12(木) 12:12
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