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とにかく手が止まらないファイター 一度引退した「ボクシング魂」に再点火 ベルト挑戦へ拳磨く

3/12(木) 6:10配信

沖縄タイムス

 「初めての地元での試合で勝ててうれしい。泥くさくてもいいから勝ちたかった」。糸満市で2月に開かれたプロボクシング「沖縄ボンバーファイト」で、ライトフライ級4回戦に出場した宮古島出身の狩俣綾汰(24)=三迫=は果敢なファイトで会場を沸かせた。真っ赤なトランクスに縫い込まれた「あららがま魂」通りの戦いぶりで、パンチを出し続けての判定勝ち。「この地元の声援を忘れず、今年は新人王を取る。来年以降のタイトル挑戦につなげたい」と力を込める。(磯野直)

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 とにかく手が止まらない。足を止めて打ち合うと左フック、右アッパーを上へ下へと間断なく突き刺した。相手の高根秀寿も同じファイタースタイルで応戦し、フルラウンドのどつき合いとなったが、2回に左フックでダウンも奪った狩俣の手が上がった。

 野球部員だった平良中学3年の時、美ら島総体のボクシングミドル級で宮古総実高のジョンソン・ジュリアン(現沖縄水産高教)が8強に入った。活躍を報じる新聞を見て「格好いいな。自分も強くなって有名になりたい」と憧れた。

 宮古総高に入学し始めたボクシング。宮古島では人数が少ないため、学校の垣根を越えて練習する。同期には宮古工業高の比嘉大吾と川満俊輝がいた。指導は元プロでラーメン店を営む知念健次監督。3人は徹底して砂浜を走らされ、試合1カ月前には店内で合宿を張り、寝食を共にした。

 「地獄のような走り込み」を乗り越えた3人は2013年、3年の県総体でそろって優勝。8階級のうち狩俣はピン、川満はライトフライ、比嘉はフライと宮古勢が3階級を制し、全国総体出場の快挙を成し遂げた。

 進学した芦屋大でもレギュラーで活躍。4年の時には関西大学リーグ優勝に貢献し、ライトフライ級の階級賞にも輝いた。

 卒業時、比嘉はすでにプロの世界王者になり、川満は第一工業大を出てプロ転向したが、狩俣は「もう十分」と引退を決めた。「グローブではなく、これからはオトーリグラスを握る」と宮古島に戻り、大手リゾートホテルに就職した。

 だが、燃えるような充実感は得られない。周囲から「もったいない。プロでやったらどうか」などと言われるうちに、眠っていたアララガマ魂が込み上げる。「悔いを残すぐらいなら、思う存分やってみよう」。10カ月で仕事を辞めて上京し、川満が所属する三迫ジムの門をたたいた。

 昨年6月にデビューし3戦3勝(1KO)。東日本新人王トーナメントのライトフライ級にエントリーし、6月の初戦に向けて拳を磨く。

 「世界王者への近道と呼ばれる新人王を勝ち抜くのは難しいけれど、決勝は満員のお客さんに見てもらえる。しっかり取って、来年以降のベルト挑戦につなげたい」。アララガマ魂を胸に、勝利の道を突き進む。

最終更新:3/12(木) 6:10
沖縄タイムス

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